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私は宇宙人と言われたことがある。一応人間の形はしているのだが、会話が地球語ではない。
摩訶不思議な言語が本来の私のコミュニケーション手段なんだが、それでは地球人と会話が出来ないから、一応地球語を学んだ。
そんな矢先に私はサライと言う奇妙な生物に遭遇した。非常に妙な気分だ。
こいつ私のどこまで知ってるんだ。まるで私をストーカーし調べ上げてるようにすら感じる。
勘のいい子ではあるのだが、それにしては鋭い。
サライとは殆ど話さないと言っても過言ではない。話さなくてもサライの意識からビンビン電波が飛んでくる。
互いに相手の意識や心を読むのが得意なんだと思う。
私も地球に住んである程度の地球の常識くらいは知っている。ン…なバカな話ねぇだろうと言われても仕方ないのは覚悟の上。
最初の頃はサライが私に好意を持っているからだとばかり思っていた。それもあるのだが、そう言う恋愛感情とはまた異なる周波数が出ている。
サライも多分不思議に思ってんだろう。私は天の邪鬼だからワザと周波数を外す癖がある。サライにしか分からない意地悪をやらかす。するとサライも同じように周波数を外し、[イヤ!]の電波がくる。
内心[くそ!外しやがったなぁ]と思うのだが、笑けてしまう。
ピタッと周波数を合わせてくれる時のサライは穏やかに自信に溢れた姿勢で仕事してるね。
[帰らないで]の周波数の時、私はブーメランになってしまった。右のドアから外に出て、サライのブッチョウ面が気になり左のドアからまた店内に戻った。その時の私の電波は[これで、いいか!]だった。
サライ、私もこの世知辛い地球で生きていかなきゃならんのよ。サライの側にばかりはいられないよ。そんな気持ちだった。
ずっと側にいたいけど生きていかなきゃならないと言う現実がある。
私が初めて会話したのがサライだと思う。懐かしい言語で話していたら自然に私は生まれ故郷の岩場にいた。
懐かしい岩場から現実を眺め、そこにサライがいるんだと認識している。
そこに私が座っている時にサライから送られてくる電波はノイズのない美しい音楽になる。
本当に不思議なんだが、言語を超えた会話がサライとだけは可能になる。
そう言うのを地球では意志の疎通と言うんだろう。
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