(no subject)

愛は語らない。語らずして、溢れくる。主張を越え存在し、良識を学ばずして、良識を持ち合わせ、生を知らずして、生を得る。意識深く眠り、意識を越え存在する。 目もなく、耳もなく、方向を定め、足もなく世界を歩く。 手もなく創造を成し、語る言葉も知らず命を遺す。 ありとあらゆるものは、私の命を通してしか学べない。過去において経験したもの、意味も知らず味わった多くの出来事が蘇り、血となり体内を巡る頃気づく。罪それさえも犯さなかったら、気づかず通り過ぎたやも知れない。許す、誰を、誰でもない。自分自身を。多くの過ちの前で私は成す術もなく、振り返る。あまりの愚かさに死にたくなるが、死ねない、情けない人間なのだ。 愛されたい、と願い、認められたいと願い。 今では遠い故郷思うようにあの心情を懐かしむ。幼い願いがなかったら何を目標に生きていけば良いのか、解らなかったであろう。今でも時折他者の目を通して、あの頃の心情をいとおしく思う。この目をして世界を見ていた頃を思い出す。