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ソファーでサングラスをかけたまま寝たふりをしていた 実際は不整脈で身動きがとれなかったからなんだが 階段を顔見知りの連中が降りてくるのが見えた
その中の一人が階段の中ほどでソファーに寝ている私に気づき[あ、来てる]小声で呟くと階段の途中で足を止めた 後から降りてきた連中は彼がそこで足を止めたもんだから、訝しげに私の方を見ている
サングラスをかけていれば目の動きが見えない 例の如く意識を消して彼らを観察する 悪趣味だ、と自分でも思う
意識のない人間の前で人が見せる様々な面が面白い 意識がある人間には決して向けないであろう視線をサングラスごしに見ている
ここに来るのは久し振りだ 暫く足が遠退いていた ここには様々な人が来る
さして親しくなる訳でも無く、気ままに過ごし帰る そんな空間が好きだからパチンコ店の常連が私の性格には程よい関わりにも思える 人混みは嫌いだが、パチンコ店は気に入ってる 何かに夢中になっている人を見ていると落ち着くのかも知れない 父親は酒で我を忘れて生きていた 無我の境地になど凡人にはなれるものじゃない だから酒がある 一時でいいから我を忘れられるものに人は夢中になる セックスもそうだったように思う 意識を失うくらいの快楽に至ったためしはないが、あれはあれでストレス解消にもなる パチンコ依存症の人の根底には[寂しい]と言う感情があるように思う
寂しさを忘れさせてくれるほどの眼差しに憧れるのもそんな心理を孕んでいるのかも知れない それが恋愛の条件だろう 自我のない対象は寂しさを癒やしてくれる 自分を消すか、他者を消すかでしかないから
意識を消し、相手に干渉しないことが本質がよく見えるってのもある 意識的に関わると自ずとと距離を感じてしまう 酒で意識不明になったりギャンブルにはまったりもするのも全部自意識からくる寂しさの成せる技に思えてしまう
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