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がさつな日々を振り返る もうすぐここを離れて行ける
未知の世界へと向かうような心境で怖くなるのだが、過去の私を思い出し恐怖を振り切る
札幌から大阪までヒッチハイクをした。所持金は1500円しかなかった 札幌を出発したのは夜でしかも真冬だった ただ、歩き続けた
今ではあの頃の私が信じられないくらい別人に思える
無鉄砲としか言えない行動の全てが羨ましく思える 同じ私なのにいつの間にか臆病になり、希望の見えない絶望的な現実にしがみついていたのだとあらためて思う 悪い魔法にかけられていたようにすら思える
[家庭]それは私の憧れではあったのだが、歩けど歩けど希望の見えないがさつな日々が永遠に続いているとしか思えない砂漠の中で絶望が次第に無意識に根を下ろしていたのかも知れない
[結婚、子供]それらを取り除いたら何も残らない生活から逃げようと思ったらいくらでもチャンスはあった 店を経営していた頃に何人かの男性から誘いを受けていたにも関わらずその気にはなれなかった (所詮、男なんてみな似たか寄ったりだ)そう言う気持ちがどこかにあったんだと思う 誘われるがままに男と付き合ってはいたが、一線を越えることもなかった 相手にその気があったとしても私にははねつける自信があった 男運が良かったのか、私が[嫌!]とさえ言えば済んだ
(無防備だが、全く隙がない)そう言ってた人がいる 相手の気持ちだけを優先し、自分の気持ちは押し殺して愛されるがままに過ごしていた 押し殺してではないのかも知れない 自分の中から相手への思いが湧いてこなかっただけに過ぎない 流されるがままに愛されるがままにってとこだろう
死ぬまで働いていたいと言うのは多分嘘だ 虚しい時間を多忙で誤魔化したいだけだった
タイムリミット…命の中には何らかの警告を発する存在がいるのかも知れない
サライに会ったのはそんな時期だった
忘れていた様々な思いや人々が蘇ってきた 人間は暗示にかかるものだ 無意識であればあるほど暗示にかかりやすい
誰からも愛されない人の傍らにいるとそれさえも自分の鏡のような錯覚を覚える 呪いのような魔法を解いてくれたのはサライだった
眠っているお姫様にキスをしたら、目を覚ましたってとこだな これは白雪姫の話なんだが、現実にも似たような出来事が起きる もし、お姫様にキスをした人間がサライでなかったら多分、寝たふりをかましていただろう 無意識と言う世界には意識を超えた超越的な意識がある 意識が人を導いているのではないのだと思う 逆なんだろうな 無意識と言う闇の方が意識を未来へと誘うもんだと思う
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