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札幌北24条 二年間暮らした街 時折、蘇ってきた懐かしい光景
アルバイト中に車道の向かい側を風のように駆けて行った少女 私の目を一瞬奪ったのは、 白い長靴を履いた少女 今では40を超えているであろうが、記憶の中では彼女はいつまでも十代のままの姿で駆けている ただ過ぎて行く人もあれば何時までも心に残り消えない映像もある
顔を見た訳ではないのだが、雰囲気が淡い空気に包まれていたように思う
記憶にあるのは、白い長靴 それだけのことだった とても軽やかに道の向こう側を駆けて行った あの少女にとって生きることは何ら苦痛ではないように感じていたのだと思う 軽快な歩調と白い長靴 一陣の風が吹いた瞬間
札幌には私の大切な思い出が沢山あったのだと思う 風来坊の私にとって、あの街こそが宝箱だったのだ 札幌を離れてからも、仕事が休みになると古里に帰るように夜汽車に乗った 誰が待ってる訳でもなかったが、いつも私を呼んでいた街 [帰っておいでよ…]言葉にしたら、そんな声がする街 そこに新坂がいて、亀沢がいて、沢山の優しい時間があったのに、私には価値が分からなかった時間 人と人が優しく触れ合った街
あの頃のように人と触れ合いたい、と願いながら生きてる気がする (にいざか…)そう呟くと新坂の顔がサライにすり替わってしまう
私に愛の原点があるとしたら、札幌なんだと思う
誇り高い愛があるとしたら、愛されたいと思わずに愛する姿勢なんだろう 新坂が私に与えてくれた愛はそうだった フラリと野良猫が札幌の街にやってきた 野良猫は新坂に見初められました 物語にしたら、そんなとこだ
[この子がいい] 新坂は自分の好き嫌いに素直だったんだと思う いい男だったのに女に色目を使わないとこが素敵だったんだ、と今頃気付いたって遅い! 南国生まれの私と札幌 不思議な組み合わせ まるで肉体は南国で作られ、精神は雪国だなぁ
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