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新坂は私の両面を把握していたね 他の人は私の片方の面だけ受け入れていたんだと思う 私が突然怒ると[君は扱いにくい]としか言わなかった 新坂は無言で私の両面を理解していたから私が怒るようなことをしなかっただけなんだ 遅まきながら改めて新坂の眼力に恐れ入ってる 他の人には私の強い面は見えていなかったか、若しくは見えないふりをしていたかだろう 自分の弱さが素直に出せたのは両方の私を新坂は受け入れていたからなんだね だからかな、新坂の前では迷子の子猫でいてもプライドが傷つくことはなかったんだ 強い人ほどもうひとつの面に弱さを隠し持っている 弱い人の立場もよく分かるんだと思う 何となくそう言う人って人間らしいなぁって最近思う 新坂は私には決して弱さを見せたりはしなかったね それがとても寂しい 新坂の代わりに亀沢が弱さを見せてくれていたみたいだ [まんがちょっとだけいい?]遠慮がちなんだけど子供のように無邪気な顔が私の膝で安らいでいた 男とか女なんてどうでもよかった あ
りのままの姿を私に見せてくれてるだけでよかったんだ でも亀沢は新坂と私が別れた後はせがまなくなっていた 同じ私なのに 亀沢もあの時点で変わった トライアングルは新坂と別れた時に自然消滅してしまった 三人で作っていた秘密の世界がある
新坂と私、私と亀沢、亀沢と新坂 家族ってあの頃のような関係を言うんだろうね
札幌を思い出すといつも(札幌西24条北5丁目 松原荘 5号室)が鮮明に記憶に残っていた 階段の位置や共同洗面所 アパートなのに門限があって、11時を過ぎたら鍵がかかっていた そう言う時には誰かの窓に小石を投げて開けてもらっていたね 思い出し始めると可笑しくてたまらない出来事がいっぱいあったんだ いろんなことみんな笑って許しあってたけどマナーはみんな守っていた 暗黙のマナーが極自然に芽生えていた 思いやりと一緒に 新坂、涙がこぼれて止まらない
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