携帯から書く日々ブログ
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執着しないのがいい。いずれこの世界も去りざるを得ないのだから。
薄暗い酒場は誰一人歩いている者はいない。雨が音も立てず降る。酒場のはずれは闇の中に細い路地をなし、次第に闇が濃くなる。あれは男の後ろ姿だ。闇に消えて行く後ろ姿は人生の縮図に見える。振り返らない後ろ姿を見送り、人はこんな風に闇に消えて行くのだと。 この世界で楽しめるだけ楽しんで、酒でも飲んだのか男の後ろ姿は妙に穏やかな風情すらある。 酔っ払いがさ迷う酒場を私も千鳥足で歩く。 これを書いた21日後に父が亡くなった。多分、この後ろ姿は父なんだと思う。ボンヤリとした人影が闇に染まるように、溶け込むように消えて行った。 本当に不思議なんだが、肉親であってもこれほど未練を感じない存在が自分の父だったとは信じがたい。一緒に暮らしていた時から私は自分の両親は違う人だと思っていた。完全に父を否定していた。ただ、自分が育った環境だけは執拗に私を苦しめたのだが、そこに父の存在が大きく絡んでいたのだとは思いもしなかった。肉親とは何だろう。母に対しても私は親しみを感じない、と言うか世間一般の人よりちょっとだけ多くを知っている人でしかない。 私にとって肉親は肉体の通路に過ぎないのかも知れない。 私を育ててくれたのは運命に思える。 PR |
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