ごめんね ありがとう

[君は誰かが好きで誰かは誰かが好きで誰かは誰かを好きで、君はいつか僕を好きになる]好きで付き合っていたつもりなのに誰も私から愛されていないのだと感じていたんだ 彼だけではない 私と付き合った人の殆どが彼と似たような言葉を呟いていた 行き場を失った愛が私の中で活火山のように怒りに燃えていた 私から愛されていると言う実感のようなものが感じれなかった理由も今なら分かる
私は南国の小さな島で生まれた 年がら年中寒さを知らない島で孤独に打ち震えていた 温もりが欲しい 太陽がさんさんと降り注ぐ南国で凍えた心に喘いでいた さすらい続けた 何かを求めて止まぬ命が怒りに燃えていたとしか形容できない 札幌を私が気にいったのにも理由があるのだと思う 札幌の街は寒く、家の中には暖房設備が整っている 外と中の温度差に私は何かを感じていた 私が本来求めている温もりではないにしろ、凍えた体に感じれる暖かさがある セックスを私に教えたのは皮肉にもにいざかだ 私はセックスで人の温もりを得られるのだと知った それも本当に求めている温もりでは無かったんだが 凍えた心は愛を知らない 愛されたことのない私は人を愛することは出来なかった [あなたは男運がいいのだが、我が儘過ぎる]それは当たっているんだろう 我が儘の限り生きて、あれもこれも経験し、最後に私は一つだけ譲れない我が儘を見つけたのかも知れない 何もいらない あなたがいればいい… 私の虚ろだった目はサ
ライを映している 空虚な笑みの先にはサライの温かい微笑みが手を広げ待っている 嗚呼…あの目は私だったんだ 愛したい…そんな眼差しで世界を虚ろに眺めていた [君が見ている景色に僕はなりたい] サライ…君にも私は私が他の誰かを愛しているんだとしか映らなかったんだね 誰も愛してはいなかった 愛する対象のない世界で自らの愛に悶え苦しんでいた 愛したい…対象のない世界で私の命の中で愛の炎だけが揺らめいていた 書物は冷たい サライ…君のような温かみは書物にはない 私は物が欲しい訳ではない 私の愛を注げる器が欲しい それが人間だった 愛したいと言う私の欲求を満たしてくれる存在 巷には物が溢れている 私にはそれらが注ぐ対象のない人の愛を奪っているとしか思えないんだ 私は植物が好きで、育っていくのを見ているとそこに自分の愛を感じていた 人がペットを愛する心理も同じに思える 自分の愛に応えてくれる存在 我が儘な人…自分だけを見てくれて自分だけを愛してくれる人 私が付き合っ
てきた人は皆、そう思っていたのだと思う サライほどの気持ちが無かったのもあるのだが、他にも愛せなかった理由があるように思える [神が結び合わせた絆]そんなものがこの現実を見ていると戯言にしか見えないのはあまりにも人間が殺漠とした機械のシステムの部品のように生きている結果に思える 愛は見えない感じるしかない それを感じるのは心なんだと思う 私たち人間は死を恐れる 肉体の死を 逃れ得ぬ定めに怯える 恐怖に対する特効薬を探す そんなものはない 死んでもいいと思える苦しみと死んでもいいと思える愛だけが死を退ける