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社会的に成功するに越したことはないが、私が憧れていたのはどうも違ったようだ。一応あれこれしてはきたが、どっかで欲求不満な自分がいる。
店を経営したのが36才の時だったかな。社会的に成功することが目標ではあったが、何年かすると私は全くの無気力状態に落ち込んでいた。店の開店時間に店には入るのだが、店の厨房に座り込んで身動き出来ない状態になった。
開店準備をしなくてはと思いつつ時計を見ていたが、体が全く付いて来てくれない。心もだ。
気持ちだけが焦って他はバラバラで収支が付かない状態だった。あの頃、私は食事が取れてないのに気が付いていたが、食べることが出来なかった。そのせいもあったのだろう。生理が止まった。止まっても気にしなかった。無意識に肉体などどうでもよくなっていたのかも知れない。
あの頃に書いたものを読み返すと虚しい叫びが何度も出てくる。
私は家庭と言う優しい人間関係に憧れ結婚もした。店を経営している時も時折スタッフに[私が探しているものはここにはないのかも]とぼやいていた。
経営者でありながらスタッフに嫌がるだろうと思われる仕事は全部自分でしてきた。今思えば高い給料払ってんだから、やって貰って当たり前だったんだが、言えなかった。
思い出して寂しいなぁと感じるのは、私が黙って人が嫌がることをしていても[私がしましょうか]の言葉が無かったことだ。
無理強いは嫌いだ。給料払っていてもそれだけはキライだった。
とうとう店を閉店するまでに追い込まれていた。最初の頃からいたスタッフに辞めて貰うことを話したら彼女は[私は付いて行きたい]と言った。
どこに付いてくるつもりだ。今まで私を理解しようともせず、イエスマンの彼女に対する私の興味はもう無かった。
人間はいつでも愛されることしか考えない。それはそれでいい。私が愛する人間が如何なる人間かを理解していたなら。少なくとも彼女のようにただ私の後を付いてくるだけの人間ではない。自分の考えを持って対等に渡り合える人間関係。私はキライなんだ。言うことを聞いておとなしくしていれば愛されるなどと、無意識にせよ考えている人間が。
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