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新坂と付き合っていた頃、亀沢が私を好きだと気づいていた。
酔っ払ったことを口実に膝枕をせがまれ、気持ちが切なくて亀沢に言われるがまま、膝枕をしてあげたことがある。
同時に一人しか愛せないと言うのは嘘だと思う。
他にもせがまれたことがあるのだが、亀沢は真面目だ。
新坂と私の関係を壊さない程度にしか求めなかった。
好きな女と一つ布団に寝ながら亀沢が満足していたとは思えない。欲望との葛藤もあっただろう。
私は口が固い。
亀沢とのことは私さえ言わなかったらいいのだと思っていた。新坂を裏切っていると言う感覚は無かった。
亀沢の気持ちだけが切なかった。
札幌は懐かしい街だ。
ススキノの繁華街から亀沢から電話がかかってきた[まんが、迎えにきてくれないか]
亀沢はいつも酔っ払った時だけしか本心を表さなかった。
それとて一線は決して超えることは無かった。(三人で暮らしたら楽しいだろうなぁ)と思っていた。
私も変わった女だったんだろう。
亀沢の気持ちの方が私の気持ちに近かったのかも知れない。好きな人に打ち明けられない苦しさがある。
親友の恋人ならなおさらだ。私も不思議だ。新坂と別れても亀沢とは付き合う気にはならなかったと思う。
御法度なんだ。
壊したくない関係がある。
心が繋がっていても気持ちが異なることがある。亀沢の罪の意識は私にも形は違えどあった。
空洞になってしまった部分は優しさで埋めていくしかない。
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