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無言の眼差しが私を一瞬捉えた。何が言いたかったんだろうかは分からないのだが、瞳の中に優しさを感じたから私は頷くようにお辞儀をし、立ち去った。
一瞬にして心を通わすものがある。言葉を超えた速さで素早く心に滑り落ちるように。心からの眼差しは微動だにせずに見つめる。
言葉ではないのかも知れない。心から…発する思いがある。意味も何もない。
その人の前では心が剥き出しになってしまう瞬間がある。
そんな目で見つめる人は少ない。
一瞬が永遠に変わるのは心からの思いなんだろう。
瞳で受け止め、流れる水のように心に忍ばせる思いは言葉にはならない。もとより意味などないのだ。そこにあるのは心を許し合った関係だけでしかない。
愛していても心を許せなかったら何の意味があるんだろ。
居心地がいいなぁと感じた時から私の中には不思議な信頼があった。
同じ目で見つめられて戸惑ったことがある。何と返事をすれば良いのか、と。
静かな時間にふっと懐かしむ瞬間がある。地底で静かに育まれた絆は自然の愛に似ている。
信頼されなかったら虚しいものだ。一緒にいて寂しい思いしか味わえないのは悲しい。心を許せる人に巡り会うのは稀なんだと思う。
気持ちが伝わっているんだと分かるだけでいい。
優しい人の傍らは居心地がいいのかも知れない。私が知る限りでは札幌で過ごした時間が一番幸せだったのかも知れない。新坂といた頃が。私は彼氏より、恋人より父親や肉親を求めていた。それを新坂が知っていたかどうかは分からないが。新坂は今でも恋人とか彼氏と言う感覚がない。ただ優しかったとしか思い出せないんだ。
寂しい。逢いたい。たまらなく逢いたい。
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