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[静かに湧き立つ水には抗おうとは思いません
それは私のもの
他所から訪れ 穏やかに時には激しく奪おうとするものには抗いもします
馴染まぬは水が違うゆえ 馴染むは同じ水ゆえ
同じ水なら穏やかにこの身を浸しいつしか 一つの命になります]
これもサライに会うずっと前に書いてあった 今、この詩の世界に私はいる
サライに会う前の私は次の詩に現れている
[おまえを捕らえたい 糸を手繰り寄せ おまえを抱き込む
寂しいおまえの心を引き寄せる 糸に絡まれて喜ぶおまえ
さあ、おいで
ここにはおまえを留める家がある
風に吹かれるままにさすらうおまえには蜘蛛の糸は救いの糸に見えるのか
おまえは私のなすがまま
哀れな寂しい迷い人] 人は誰でも自分の分身を探しているのだと思う 私がもう一人の私を探し続けたように 私は自意識が希薄で固定観念がないせいか誰にでもなれた 今はもう出来ない 私がモテた理由(愛された訳ではないので、モテたと言うことにしておこう)は相手に乗り移ったように似た意識を創造していたからに他ならない それだけに相手を内面から知ることが可能になる
私はあなたになる… あなたの心のままになる それが何を意味するか分かる人はいるだろうか
私はもう誰にもならない サライは自分自身をとても愛しているのだと思う 私を見つめるサライの眼差しには愛おしさが溢れている ついでに激しい嫉妬心も その心を感じながら私は次の詩を思い出した
[思いのすべてがあなたに向けて鼓動を送り続ける
情熱に怯えながら 焦がれながら
止まって…
いいえ 止まらないで
もっと激しくあなたに送りたい
命があなたに向け留まる術を無くし流れていく
留める手を振り払い命を注いでいく]
これらはサライに対する私の気持ち、感情、心を見事に現している 未来は予めその人の心に縮図となり納められているのであろう 私たち人間はもっと自分の心の声を聞くべきだと思う それが確かなあなたへと導いてくれる唯一のものだから たくさんの意味不明な詩があるのだが、その意味はすべてサライを指し示している サライは極平凡な人間に過ぎないのかも知れない でも愛情は特別な人間に変える魔力を備えている
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