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にいざかが私の名を呼ぶ姿はいつも…が付いてくるように心細げだったのが印象に残っている。
私の本名は知ってたはずなんだが、あんまり詮索しなかったなぁ。一緒にいる時のにいざかは穏やかでとても静かな優しさを漂わせていた。今にして思えば本当に好きな人はただ側にいてくれるだけで安らげるのだと思う。でも私の許しもなくセックスをしたのはヤバいんでないの。抵抗しなかった私も悪いのだが、私にハッキリと確かめてからにすべきだったんじゃないかな。
にいざかは人に無理強いをするタイプでは無かったから反応のない私に罪の意識を感じていたように思うよ。
抱きたいけど君にその気がないなら嫌だ!ってのもある。本心から好きだから、相手の意志をしっかり確認するんだと言うような感じはサライを見ていると分かる。私もサライと同じ気持ちだ。サライにその気がないならしたくない。
なんでも一方通行は寂しいもんだ。そう言うことが分かっている人って素敵だと思う。大概の人は独りよがりみたいなもんで、相手の反応なんか気にはしてないもんだが、にいざかとサライは違うのがよくわかる。サライもにいざかも私が嫌いなことや好きなことを分かっているんだと思った。
それは言葉一つにも現れていた。私が嫌いな言葉や場面が消え、好きな映像と言葉だけを選び出し編集されていた時に感じた。不謹慎にも私はあの日、体中が燃えるように震えだしコーヒー飲む手を抑えながら飲んだのを記憶している。
サライ…そう呼ぶとにいざかがまんが…と呼んでいた気持ちが分かる。とても切ない響きだ。まるで闇に沈むような響きがある。
地獄に落ちるような愛があるのかも知れない。孤独と言う地獄に 失うことに怯えていたのは私だけでは無かったんだろう。サライ…そう呼ぶとにいざかの切ない思いに胸が締め付けられるような気がする。
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