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[心臓が悪いのにそんなことしていいの?]庇って何もせず死ぬよりはいいんでないの。
こう言う言葉聞くと人って何で生きてるのかなぁと考えてしまう。長生きがいいみたいには思えないんだ。
病院でいろんな患者さんを見て来て改めてそう思ったよ。
中にはひねくれた奴もいたが、そう言う人って可哀想だね。楽しく世話になってりゃいいものを、ワザとらしく[すみませんね]なんて心にもないこと言うのって悲しいね。心から言ってる人もいたね。本当にすまなさそうに言うんだ。
[誰もが通る道だよ。せっかくだから楽しまなくちゃ]世話する人がイヤイヤながらやってたら多分気分悪いだろうね。体調は悪いわ、気分は悪いわでは救われない。
仕事場で老後の話になり、一人の人が[私、老人嫌い]と言う。
あんたもいずれ老人になる。
私の心臓の心配より自分が老人になった時のことでも心配したら?
元気に老いていくのが理想だね。死ぬ心配をして生きていたってつまらない。
いつか人間も死ぬんだ。最後の時に穏やかに去って行きたいんだなぁと思わせてくれたのは山名さんだ。何も話さなかったけど、私をじっと見て、私も黙って見て胸の前で両手を組んで佇んでいた。山名さんに多分気持ちが通じたんだろうね。それからの山名さんは胸の上に手を組んで私と同じ姿勢でいた。
諦めなくてはならないものがある。ジタバタしたら余計苦しくなる。ずっと側にいた訳じゃなかったけど、病室に入るととても穏やかな顔をしていた。
亡くなった後、看護婦さんから[綺麗な顔をしていたよ]と聞かされ何だか安心した。目と目で会話すると心が綺麗になる。二つの心が一つになるみたいに感じれる。
元気なうちにそんな人と過ごせる人は幸せだ。
大切なものを思い出させてくれたのは最後の力を振り絞って私にくれた心がある。もっと早く気付いていたら人生は楽しいのにね。
何だか、世の中にいたら、つい肩書きやら学歴を気にしてしまうが結局私は優しい人を選んでいる。振り返ってみても、私を好きになってくれた人は優しさに惹かれてたんだと思う。私が妙なコンプレックスを感じていただけなんだと後悔する。でも世の中はそうなんだ。大抵の人間が妙なプライドで身を守っている。
昔に何気なく書いた詩を開く。憧れは変わらないのだと思う。
抜粋。
美しき心のままにあれと願ふ
時の力に屈することなく
混沌にのまれることなく
枯れゆくも、冬の装い
時が君に囁こうと黙って歩いて行くといい
空虚な呟きに、耳を傾けぬよう
仕事で多忙な日々を過ごしていた時に書いたものだけど、いくら頑張っても虚しかったんだろう。
ふっと脳裏をよぎった言葉を無我夢中で書いていた。私の無意識は私の導き手のように真理を教えてくれる。
多分、極限まで来たら理解するんだろうね。地獄を見たら気がつくんだろね。
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