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子供の頃からいつも不思議な視線を感じていた。いつでも誰かに見られているような気がして、ふいと後ろを向くのだが誰もいない。そのうち気にならなくなってしまった。
見られて困るようなことはしていないのだ、勝手に見ればいい、そう言う気持ちになってから心が自由になったように思う。
もう一つおかしな話がある。私には親はいないに等しい幼少期だったのだが、絶えず囁くような音を聞いていた。否、暗黒と言う黒板に浮かび上がるような感覚だ。
子供の頃は意味も考えず漠然と感じていた。不思議とも思わなかったのだが、この話を人に話すと訝しげに[あんたの言ってること分からない]と言われ続け何時しか話さなくなった。
普通の会話をする時も不安で[私の話分かる?]と、つい聞いてしまっていた。今から15年まえに書いた言葉は無意識に浮かんだ言葉で、意味がチンプンカンプンだったのだが書かずにはいられず、せかされるように殴り書きしておいた。時々、読み返してみると人間に対する警告と私自身の無意識に気付かされる。
人間が一つの運命と言う川を流れる存在なら、川の流れがどこに向かっているのかを感じる何かが人間の中にはあるのかも知れない。
このまま行くとナイヤガラの滝に向かうだろう。そう言う光景が漠然とよぎる。動物の中には集団自殺をする群もあるらしい。
暴走を止めることは出来ないのだが、自滅するしかない群からはぐれ、安全地帯に避難は出来る。
親が子供を守るように遠い過去から囁く警告があるのだと思う。
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