美しい心

サライは人を憎んだりはしないね。その代わり怒りをモロに表に表す。皮肉屋じゃないから喜怒哀楽の感情が非常に見事なまでに素直に出る。だけどたまに逆のことも言うね。全く違う時は曖昧な言葉で流しちゃうね。
口は固いのだが、ただ言葉にしないだけでバレバレってのも笑えるし、何だろうね。嘘だって分かっていてもサライは憎めない。
美しいってサライのように喜びや悲しみを体全体で表すことのように思う。言葉で表すのもいいが、そう言うのは物書き連中に任せておけばいいと思う。
そうだね、私はさしずめ神様にこう願いごとをしたのかも知れない。[才能はいりません、心から愛せる人を与えて下さい。そこから私は魔法使いのようにあらゆるものを生み出しますから…]
そんな風に神様に願いごとをしていたのかも知れない。
[芸術家は家族を不幸にする]そんなもの芸術でも何でもありゃしない。本当の芸術家は人の幸せを願っている。
宮沢賢治なんかは芸術家の最高峰に位置するんじゃないかな。本物の芸術家の悲しいとこはね、この現実に愛する対象が見当たらなくなることなんだ。孤独と寂しさに狂っていくんだろうね。
山びこは、ヤッホーと言えば取り敢えずヤッホーとでも返ってくるだけましだ。孤独はブラックホールのように何もかも飲み込んでいく。
サライ…寂しい時に名前を呼ぶとサライも同じリズムで返してくれるね。逆の時もあったけど、安易に私が[好きよ…私のこと好き？]って聞いたら思いっきり強い口調で[キライだ！]キッパリ言った後でボソッと[…と言うことにしとく]口数は少ないけど嘘が混じってないんだよね。
人を憎んだりするのは貧しい感情なんだと思うよ。サライはただ花のように喜怒哀楽の花が心に咲くだけだから美しいんだ。誰も傷つけない優しい感情…なんだけど、私は思いっきりサライから傷つけられた。