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言葉じゃない その人の無意識が私に語りかけてくる サライ、君はゲラゲラ笑いなどしない 私もそう言う類の笑いは嫌いだから サライ、静かに笑みを浮かべていた君の姿がちらつく 魂からなのか心からなのか知らないが、君の微笑みは静かな世界から咲いた花のように清らかだった 私はたまに馬鹿笑いをしてしまうのだが、そう言う笑いは一瞬で記憶から吹き飛んでしまう 余韻も情緒もありゃしない 孤独な者だけが浮かべる笑みがあるんだろう
次第に世の中と自分の距離が広がっていく 不安がない訳ではないのだが、馬鹿げた芝居に疲れてしまった 仕事はそこそこ覚えた
昨日は職場の隅っこで一人お昼を済まし休憩時間を過ごした 疲れ方が全く違うみたいだ
人の機嫌を取るのが嫌いなのは今に始まったことじゃない 昔の私は[自己中心]に見えていたのだろう 人を意識せず気ままに生きている
そう捉える人もいれば新坂のようにありのままの私として受け入れてくれた人もいる
ブティックを経営していた頃、客の機嫌を取る度に顔が引きつっていた ひどい時は片側の顔が痙攣しピクピクと勝手に動く 不自然な動きは肉体に現れる
言葉で言い繕っても心は[嘘だ!]そう叫んでいたのかも知れない
仲間外れには慣れているのだがそれが仕事をする上で支障をきたす時がある 多分、斉藤さんがいるから貫けるのだと思う 仕事をさせたら彼は美しいとしか形容の出来ない姿勢で向き合う これでいいんだ そう思う
帰り際に[お疲れ様]そう言うと一瞬、斉藤さんの目が静止した サライではないのだが、何となくサライの目を見た気がした
人間の能力の99パーセントは使われずに眠った状態だと言われる 脳の問題でもあるのだが、無意識の領域を認識出来ないからに他ならない
私も根なし草のようにさ迷っていたのだが、根っこがない訳ではない ただ根を下ろすべき大地が見つからなかっただけだ 多分、さすらう運命だか宿命だかを背負って生まれたんだろう
一つの意識に定住出来ない意識は絶え間なく新しい大地へと私を導いていく 離れる時期がくると無意識に不安に襲われる それにも慣れてしまった
ただ、サライと別れずにすむなら構わない 私の意識が変化しようが、現実にサライがいれば狂わずにいられるのだと思う この現実にサライがいれば大地など持たなくても生きて行ける
サライ、君が私に見せた情熱と愛がいつまでも私のものであるなら私は太陽のように輝いていられる 無意識の闇を照らすのは愛なんだと思う
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