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進むべき道に迷う 人として… 迷いの最中に過ぎ去った人を思う 道しるべのように その後ろ姿を心に描く 眼差しを…いつも微笑んでいた優しさが浮かぶ 私の傍らにはいつも新坂の静かな微笑みがあった 何故あんなに穏やかな笑みをしていたのだろうか
私が傍らにいたから…? 愛する者がいれば人は穏やかに生きれる 私がサライを愛しているように新坂も私を愛してくれていたのだろうか 包まれるような優しさが無意識に眠っていた それが新坂だった
長い年月を過ぎて、なお、私の心から消え去らなかった優しさが何度も語りかける まるで愛の魔法のように
愛しても帰って来ない愛は寂しい
石川さんが[僕は彼女を愛している]素っ気ない口振りで投げやりに呟いた
愛しても報われない悲しみがあるんだと石川さんは言いたかったのかも知れない 一方通行の愛は悲しい 彼はそう思っていたのだろう
草花やペットに人が愛情を注ぐのはそこに自分の愛の形を見ることが出来るからなんだと思う 鏡みたいなものかも知れない 見返りを求めているのではないが、一方通行は枯渇してしまう
多分、石川さんの愛は深くて真面目だったんだと思う その愛に応えるだけの力量を持った人はそう沢山はいない
私が新坂の優しさに応えるだけの自信が無かったように 自分と言う者を知っている人なら黙って去って行くしかない 愛する力の強い者は自らの愛に傷ついてしまうことだってある 傷ついていることを言わない 言葉で伝えられる位なら大したことはないのだとも思う
スフインクスの謎かけではないが、(感じてほしい…)切ない悲しみと孤独がある
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