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つらつらと読み返してみると、気分が本当にコロコロ変わってんなぁと我ながら感心致し候。確かにじっとしてられない性格ではある。特に同じ気分には長居ができなんだ。母が悪い訳じゃ無かった。同じ空気が嫌になるんだ。かと言って母はコロコロ変われる器用さはないんだ。私は男をコロコロ変えたが、みんな似たか寄ったりだ。一番いい男はやっぱあいつだ。優しかったし責任感も強がったな。おまけにいろんなことを注意もしてくれた。心配もしてくれた。勝手に逃げ出した時[なんで僕に黙っていなくなるんだ]と怒られたが、私は何故怒られたのかがいまいち分かって無かったみたいで、次は違う男こさえて、雪の中相合い傘で渡ってきたら、信号の向こうからやって来たのがあいつなんだなぁ。後日アパートの前で会った時、引っ越すと言ってた。理由が私の男だとは思わなんだ。
今頃になって気が付く。
好きな人に裏切られたんだろうか?私に愛されていると言う自覚が全くないもんだから、駄目だったんだね。そう言えばサライと似てんなぁ。仕草とか、近寄り方とか。新坂義雄、忘れてはいけない人なんだね。一番最初の人が本当に好きな人だったのかも知れない。新坂とは喧嘩も出来たね。なにより私を理解していた。黙って雪の中傍らを通り過ぎた時、どんな気持ちだったんだろう。心を写す鏡には自分の心はないのです。悲しみを感じる心も。ただ写すだけだった。
鏡の中の新坂が懐かしい。最初に物語を紡いであげたのも新坂だ。新坂は私に自由を与えてくれていた。安らぎと自由を。[君が僕を好きだと自覚しないと愛は伝わらないんだ]
この言葉は新坂の声だ。雪の中無言ですれ違った優しさ。
愛されるだけでは愛は伝わらないのです。愛さなければ届かないのです。
本当にそう思う。サライが黙って影から私を見ていたことに気がつかなかったら私はサライを意識することは無かった。
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