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神よ。私は今、不思議な、今まで踏み込んだことのない領域に入り込んだ感覚です。不安では無く、妙に落ち着き払っているのです。私は今までこれほどの静けさを知りませんでした。
現実の中に居ながら、現実には目もくれない。今までの私は不安に怯えていたのだと思います。生活のことやらで。
何故なのだろう。
現実は相変わらず身じかにあります。私が触れようと思えば、手の届く範囲にです。私がそれに触れたいか、触れたくないかだけです。
マイ、レディは気分次第で変わるね。今はサライが祈っているように聞こえる。以前は[俺の女だ]と聞こえていた。今日は違う。
[君は僕一人だけの人なんだ]
それがサライの気持ちなのか、私の気持ちなのかは区別が付かない。
二億四千万の瞳も。サライとの思い出の曲は、日に寄って変わるね。他の人の曲は私だけの気分次第なのにね。
心からの願いが叶った時、人は夢じゃないかと疑う。私もそうだ。
夢でもいい、覚めないで欲しいと願う。暫くは現実に触れられず、ただじっと見ているだけだ。
消えずにいたら、やっと現実として認識し、受け入れようとする。
サライにとって私は夢のような存在なのかな。サライの行動を見ていたら、そんな気がする。
いろんなことが現実になっていたのにサライは拒んだ。
この世界もイマジネーションから生まれたんだ。サライの中には私に会う以前から:私:がイマジネーションとしてあったのかも知れない。サライの女性像は、サライが描いていた人なんだけど、私自身なんだ。私そのものだから自由になれる。たまたまイマジネーションと実体が出逢っただけ。
サライは私との出逢いを[君と出逢ったのは偶然だ]そう言ってたね。偶然を引き止めたのはサライなんだよ。
夢にしたくないと現実に働きかけて、1月7日にサライは素知らぬ顔で現れた。微かに[僕は君を知ってるんだ]無言で打ち明けた言葉と私の背後にいたサライを鮮明に覚えている。[君が僕の前にいる]少年のような鼓動が聞こえてきて、戸惑いを感じた。
最近、お嫁サンバはBGMに乗らないね。最初の頃はよくあったのに。
[一人のものにならないで]矛盾してるよね。[自分の人にしたい]でも[一人のものにならないで]は。何となく何時の間にかBGMから消えていた。BGMの選曲だけでサライの気持ちの変化が分かる。[獣は裸になりたがる]はサライの欲望を現している。
[本当の僕でも君は平気かい?]そう問いかけられているようだ。
サライは私に聞いたよね[殺人者でも許せるか]凄い例えだけど[人間は弱いから状況で変わる存在だから許せる]と答えたら[君は心が広いんだ]と。
私の気持ちも変化した。[ここもいいなぁ]と。サライがいるからなんだ。私がサライと会っても驚かなかったのには理由があるんだ。
随分、昔からサライには会う予感があったからなんだ。
どんな人かは知らなかったけど。サライを見て私は[この子なら最高だ]と頷いていた。
どんな過酷な現実でも愛する人が傍らにいたら、受け入れ、乗り越えていけるものだとも思った。
サライと私はteleportする心を持っている。自由に行き来出来る。
こんな感覚を世間や世の中では赤い糸とか絆とか言うんだろうね。
女戦士だった私が今日は一人の女になっている。何の闘いだったのだろうね。
昨日の闘いも忘れてサライだけを愛している私がいる。
今日はサライをからかう気にもならない。
現実を茶化して生きて来た。サライもその現実の一部なんだ。
マイ、レディの曲がかかる度に[勝手に張り裂けろ!]と笑っていた。これはサライにも伝えたよね。[何が張り裂けそうだ!勝手に張り裂けてろ!]って。でもおあいこだ。
サライも隠れて私をからかっていた。私は直接だけど、サライは姿を見せないで私をからかっていた。
[あのくそガキめが!]と言いつつ笑っていたけど。
未来は予め人々の心にあるんだね。ただ、それを感じれるか、どうかなんだ。
私も世間の常識くらい知っている。硬直し、鼓動を忘れた人々の心が凍えているのを。
その中にあってサライと私の心は美しい音楽を奏で、凍えかけた心を揺さぶった。まるで春の訪れのようにサライと巡り会った。
奇跡のように空から舞い降りた幸せ。
サライも私の名前も年齢も知らない。私もサライだと言う以外は知らない。
互いに何一つ知ろうとはしないね。
ただ、一回だけサライは[君は僕の休みを知ってるか?]と聞かれた。[知らない]それで会話は終わりだった。
年齢も性別も関係ないのかも知れないとだけ感じた。
好き、愛してる、側にいたい。
思いだけが激しく行き交う。
現実的なものより、思いの方が激しくて、別れた後に名前くらい聞いておくべきだった、と。年齢はいくつなのかなと思うが、後の祭りだ。いつか知る日もあるだろう。
聞きたいことはいっぱいあるのに、逢ったら全部忘れている。現実的なことは後からいくらでも聞ける。今、互いが知りたいのは[君は僕のことをどれくらい好きなんだ]と[サライは私のことどう思ってる]なんだよね。
そこにばかり意識が行くもんだから肝心要の現実がスッポリ抜け落ちている。
でも、いいかも。
現実は愛する心から自然に芽生えるのが新鮮で美しいんだから。
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