傷つきながら

傷つきながら、歩いてきた。そんな私だからきっと人も傷つけていた。不完全であるが故に自らも傷つく。傷ついてもやはり前に向かい歩きたい。 次第に昔の私とは違うものに価値を見いだすようになった。憧れだったものはただのガラクタに変わり、自分の心の変化を不思議にさえ思う。否、私自身が望んでではなく世の中の価値観に媚びを売っていただけだ。人が尊敬の眼差しを向ける人に憧れはしたが、その眼差しは人にではなく付随物に対してでしかない。よく言うではないか、金の切れ目が縁の切れ目と。 切れた方が良かった。金が悪い訳ではないが、それで繋がっている関係ならない方がいい。価値のないものに随分犠牲を払っていた。満たされる事のない空虚感から拒食症にもなった。食べる意味も無くす。胃袋を満たすものは何でも構わない。塩と米だけだろうが一向に気にしないが心は贅沢だ、わがままだ。 でもね、欲望がなくなると人はあんまり傷ついたりしないもんなんだとも思った。 身ぐるみ剥がされスッポンポンってとこかな。本当の私。あるがままの私に帰ってきただけの話だ。