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人が無意識に吐きだす空気。辺り1面に漂う。 我慢強い人間も五分も、持たず死んでしまう。全ての命あるものはあらゆる形で呼吸する。生きてる限り、呼吸無くしては生存は不可能なんだ。 意識せずとも心臓は自然のリズムを忘れない。 リズムが狂う時、何らかの異常事態の現れと気がつく。人間は皆同じに見えるが、実際は異なる。 見えない呼吸、波長。以前私はこの不思議な存在が何を意味しているのか、調べて見た事がある。結局、解らず仕舞いだったが。 誰でも何と無く使っている。(あの人とは波長が合わない。)と 同じ事を私も感じる。波の高い所と低い所の間の長さ、おおよその見当はつく。 地球の何処かには、今だ、知られざる何かがある。空を見ると、漠然とまだその先がある。言葉に置き換える事の出来ない神秘が。 私が感じているものはもしかして、妄想かも知れない。 何度も思った。 言葉を越えた存在がある、と。 人間の中に潜む見えないもの。 決して私の心に踏み込まれたくないもの、空気の様に漂う。 呼吸困難になる前
に逃げる。 誰でも火災になるとあわてふためいて逃げる。ただ、私の災難は何気無く存在している人間だから、逃げようがない。地球上は人間が支配権を持ち、わがもの顔に這いかいしてる。 多分気がついていない。 狂った波長を放出している事に。 雑音にまじり、辺りを包み込む。 少しでも遠くへ逃げたい。 追い払えるなら、一番だが、私にその権利はない。個人の自由。 ただ側にいたくない。脇目も振らず逃げる事しか、思いつかない。足元を見る余裕などある訳がない。現実問題で考えて見るといい。貴方が火災に会った時の事を。私同様の行動をするであろう。ただ、私が怖いのは人間の中に潜む無意識からなる邪悪な存在。 本人には意識されないまま闇の中で、薄気味悪い笑みを浮かべる。モナリザとは似ても似てもにつかない笑み。死にもの狂いで逃げたくなる。 お陰で足を痛めてしまったが、何だか私の本心が語っている気がした。 足は何時か治る。ほんの一部が損傷したに過ぎない。まだ私の大切なものは傷ひとつ、ついていない。守りたいもの、それは私でさえ触れる事を許されて
いない何かかのだ。肉体はひたすら守る為に、警告を発する。 凄まじいサイレン音を、あらん限りの力を振り絞り、危険を知らせる。近寄ってはならない存在の接近。
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