変わり者

地球に重力があるから、好きな所に行ける。苦しみがあるから希望が芽生える。コンプレックスがあるから、美しさが輝く。美人を鼻にかけた人を美しいと思う人はいない。私だけかな？自分の良い所を知らないのがいい。詩人達が讚美する美とはそう言う物なんだ。谷間の百合、知られざる美、大切な物は隠れた所にある。いちがいに全てのコンプレックスがそうだとは言えないが。物事を観察していて、適度なコンプレックスは可愛い物だと思う人がいる。なんでも適度で、過剰になるとマイナスに転じる。何処までと線を引けないが、個人のバランスもある。偉大な才能の偉人に於いてはコンプレックスは欠かせない。ユニークな個性を際立たせる大切な要素だから。アインシュタインのあっかんべーが好きな人は多い。私もファンの一人。ユーモアの達人は、得てして寡黙な顔を隠し持っていたりする。単なるユーモアか秘密を知るが故の物かは、聞く人が聞けば解る事だろう。理解されない世界を知る者は狡猾で強かでなければ、持ち堪える事など出来ない。謎説きが終らないうちに葬られるだけだ。集団とは何かをわきまえている。重力なんだ。天才にとって大衆は重力になる。
最も、反骨精神の成せる技なんだが。だだ、言える事は、コンプレックスに隠された素晴らしき物の存在に気がついたって事。気がついた時、やべぇな！隠し場所を探す訳だ。

壊れた後で気がついた物

あの頃は上手く行ってた。過去を振り返って、言われても私には墓場でしか無かった。同じ生活空間に居ながら感じ方は違う。逃げる様に仕事に没頭した。理由は一つではなく、他にもあった。様々な要因が絡みあい、これが、とは言えないのだが、仕事で気を紛らわしいていても、常に聞こえ来る囁きがあり、訳も解らないまま書きなぐった言葉の数々。何処から来るのかも、何故書いているかも私には解らなかった。私は囁きを写し書いただけに過ぎない。意味を知りたいより、強い力が働き勝手に手が動く感じはまるで操り人形の様だった。それでも構わないと思った。人間に操られるよりはましだと思った。今でもそう思っている。逃れられない運命があるなら、選択を許されるなら、見えない力強いものに従いたい。従うだけの値打ちがあるものに従いたい。幸せとは程遠いのだが、満ち足りた気持ちの今、制限とか試練とか言う言葉はどうでもいい。満たされる事も無く幸せを求めても儚さしか残らないのだから。幸せは長い道のりの小さな慰めかも知れない。小さな花を摘みながら歩いて行くのもいいだろう。ただ立ち止まりたくなかった。別れは辛いが、立ち止まるのは悲し
い。まだ道は続いているのだから。アルバムめくりながら、懐かしくなる。あそこにも幸はあった。

自由人気取り

都会の僅かなオアシス、と言える代物ではないが、家の中よりはくつろげる。室内は寝る為だけで構わない。若い時、私の周りは貧乏人ばかりで、狭い四畳半に七人の居候がたむろしていた。懐かしい様な不思議な生活。気取りのない連中ばかりで、今の世の中から見たら完璧な間抜け連中。今頃どうしているかなぁ。たまに思い出す。自分の年齢を思うと皆いい年になってんだろうな。若気のいたり、なんてね。苦笑してる事だろう。若い時にしか出来ない事がある。世の中が許してくれる年齢がある。何処かで別れなくてはならない自分がいる。社会が全てを決める訳ではないが。長髪だった髪を短く切り、スーツに着替えた姿に笑いもしたが、諦めもあった。ほんの束の間の夢もいい。振り返って苦笑出来る若さがいい。

探偵ごっこ

世の中の人がいくら信じても私は確かめないと気が済まない性格なんだ。小学校の時もそうだった。居残りテストを受けていたのだ。式も答えも合ったのは解っていたのだが納得してない。なんで、こうなるの？疑問を何度も投げ掛けていたら、担任は怒った。(式も答えも合ってるから、帰れ！)こんな担任では子供の好奇心は潰れるばかりだ。私の成績の悪さを担任のせいにする気はないのだが、子供に大人が知ってる記号だけ見せても無駄。記号から実物、成り立ち、根本と辿って見て本物に行き着く。だから、今の丸暗記方式のガキの頭は考える事が出来ない。考えるって脳に空間があるから出来るのよ。余裕。車のハンドルも多少の遊びがあるから、巧く行く。知能が普通の人間は限度があるのよ。腹八分。体には気をつけても頭には案外無頓着なんだ。

はなくそ程度の現実

煙草を買うつもりで店に入り、財布がないのに気が付いた。確か４０００円入っていたはず。この４０００円の所だけが現実で、後はハッチャかメッチャか。単なる夢、紛らわしいから現実を持ち出すんじゃねぇ。アホ臭くて途中で起きてやろうか、とも思ったが、それさえ面倒臭い時あるもんだ。夢の中に見覚えのある物が散りばめられていると、へっ！？となる。現実と真実と嘘を鍋でごった煮した夢の後、つくづく脳味噌のいい加減さが解る。区別して物語り作らんかい！ただ程高い物はない。ヘボ監督だなぁ。