祈り

マザーテレサには夢があったのだろうか。ビィクトル、フランクルは収容所で夢を持っていたのだろうか。私にも夢は無かった。夢を見れる程私の子供時代は優しくはなかったからだ。食べ物に飢え、寝る所を探す。会話はなく、何時しか言葉を忘れてしまった。何が悲しいのか解らず悲しい気分だけが満ちていた。泣く事も忘れていた。感情が消えていく辛さって、その時は気がつかない。ある時、空虚なやりきれなさで気がつくのだ。私には夢はないかも知れないが、喜びがある。人と過ごす穏やかな時間。それを夢とは言えないのだろうな。何かになりたいと言う目標が夢なんだろうか。私は一度死んだ人間だから、生きていると感じられる時だけでいい。心ある人間といるだけでいい。夢と言えるものが私にあるなら、絶望の最中で祈りだけが残された人がいる。奇跡は祈る者のもとを訪れる。そうであって欲しい。夢を見れる位優しい一時があって欲しい。それが私の夢。

汚い血が流れて

汚い血が流れている。そう思うなら断ち切ればいいものを。親子だからと言う言い訳はおかしい。父を一人の人間として見るからこそ許せない。むしろ私は父を愛しているのかもと思う。自分のだらしなさを父のせいにする事は楽でいいだろう。親からの遺産なのか。遺産でも負の遺産がある。父の様な人間にはなりたくない。今の私はそれしか考えていない。父を意識するでもなく、私には憧れの人間がいる。ただ黙って過酷な運命に堪えたビィクトル、フランクル。マザー、テレサ。他にも憧れの人間がいる。別に父を愛する必要もない。血が繋がっていても嫌な人間は嫌で、仕方ないと思う。時々、霧消に寂しくなる。所詮本の中の住人にすぎない。どん底までくるとビィクトルやマザーの言葉も虚しくなる。そんな時は私自身の生き方が間違えているか、考え方がへそを曲げた時だったりする。結局、受け取る気のない者の所にはマザーの言葉は聞こえない。何時でも貴方の言葉が聞こえる所に私はいたい。

夢を売る

メディアから流されるものに夢なんかありはしない。馬鹿を売り物にただ騒いでいるだけだ。番組の途中でコマーシャルが入る。夢なんてありもしない。脳天気なお喋りに喜んでいるなんて思っているならおかど違い。テレビも新聞もガキの様に、自分の喜びが歓迎されているなんて、自惚れもいい所だ。見せ物小屋の道化師。いずれ、飽きられて捨てられていく。ほんとうのスターは生まれない時代。操り人形のように、価値がなくなれば忘れていくだけ。めまぐるしく変わる。物に溢れた世界では人間も物でしかない。割りきって生きるのもいいかも。

それ、解る。

なんかの本で読んだと思う。(死ぬ理由も、生きる理由もない)なんか解るんだよね。ただ目だけで見ていて何も感じない時私もそんな気になる。(別に)何にもない言葉。昔、私には憧れがあった。今思えば下らない希望だったが、死なずに生きてきたのは、馬鹿らしいのだが求めるものがあったからだと思う。今は物は要らない。求めているものはあるが、それは形のないもので、訳もなく命の深い所からなんの根拠もなく沸き上がってくるもので、外部からは得られないものかも知れない。理由もなく、砂漠を歩いている気分になる時、生きてる理由も死ぬ理由もなくなる。明日になったら又生きていたいなぁなんて思うのだろうか。そんな当てにもならない希望が湧いてくれたら又少しだけ生きる希望ができるのかも知れない。私だけかも知れないが、社会に認められたからと言って、それがどうだって言うんだ。親からの期待、社会からの期待に応えることで満足出来ない何かがある。町でさりげなく交した言葉が、私が今ここにいるんだと感じる。二度と会わないであろう人との会話が日溜まりになる。人間はどんどん化け物になっていく。あんたが社長だ
ろうが、社会のお墨付きだろうが、私には興味はないよ。そんな人間に毎回会う度に(死ぬ理由も生きる理由もない)と言う言葉がよぎる。多分、生き残る人間はそんな人なんだろうな。いいんでない。年々自殺者が増えているらしい。反対はしない。嫌気さす気持ち解るから。

仕方ないかな

無意識にせよ私が選んだ道に他ならない。あ～このまま行けば間もなく崖ぷちにいきあたるだろう。そこで私は海だか空だかは知らないが、飛込むか、飛び発つか、どちらも出来ず、天と地の狭間で、まっいいかと言えたら良しかな。明日の事は考えない癖に、何時か死ぬのだと言う事だけは忘れないと言うのもおかしな話だ。他の事は殆んど一晩寝たら忘れているのだが、この約束だけは一度たりとも忘れた事がない。悲観主義者と言う者もいるが、私はむしろ死を目指し歩く者を楽観主義と呼ぶ。彼等は全てにおいて大雑把でありながら、ささいな事には手放しで天真爛漫な笑みを浮かべる幼子でもある。偉大な存在を知るが故にあるがままを見据えて、腹が減ればよその家の食い物をかっぱらうだろう。見付かれば追い掛けっこをするだけだ。だから、小さな事で悩まないほうがいい。世の中のルールは下品を隠す為にこしらえたものに過ぎない。私の頭は多分、メチャクチャなんだと思う。９９、９％が私にＮＯ！と言うだろう。正義なんて多数決で、それが民主主義だと、違うのだが、多数意見に従うのが無難なだけ。民主主義でもなく、人間の尊重でもないのだが。