言葉とリズム

ある特定のリズムを感じると言葉は勝手に後から付いてくる。正しいリズムには何らかの法則があり間違えようがない。 言葉を探しているうちは何も書けない。絵も同じだ。 全ての芸術は深い所で繋がっている。芸術を理解する者ならそれが本物か偽物かの区別はつく。如何に姿を変えようと、息吹きは変わらない。 未来や過去にも捕らわれず今、生きている事だけを感じているなら、何時でも聞く事が出来る。 私達人間をその世界から遠ざけるのは欲望と不安だ。 リズムが良きものなら自然に聞こえてくる声がある。生き方からなのか日常の過ごし方なのか、両方だろう。 島で過ごした私は都会の雑音も大人のお節介もない環境にいた。悪く言えば孤児のようであったが、あの頃聞いた声は不思議に今でも記憶に残っている。潮風と過ぎゆく風の音に乗り聞こえた声は自然の奏でるリズムだったのだろう。忘れられない声はあの頃聞いたものばかりだ。 人間の営みも自然から離れては有り得ないのかも知れない。