現実と幻想

気をつけろよ。この世界では人間は死ぬ定めになっているんだ。
よく目の前を見て道を行くんだ。障害物を見、うまく交わしながら、焦らないことだ。
波なんぞ何度でも来らぁな。おまえが本気になればチャンスは何度も訪れる。
目ざといおまえのことだ。薄目開け外を窺ってるんだろうが、おまえの欠点には気をつけろ。
人間が最も陥り易い罠は足下にある。
そこが一番見えにくい場所だ。
しっかり大地を踏みしめ歩け。道を照らす光を手放さずにな。
いいか。これだけは忘れるな。チャンスは一回こっきりではない。諦めるのはよくないが、諦観は人間を賢くさせるものでもあるんだよ。
いつものおまえらしく、世の中から身を引き、群集の祭り事を見ているがいい。決して何事も焦っては成せない。たとえ、成したにせよ、くだらないガラクタになるのがいいとこだ。
目は閉じろ、耳もだ。五感の全てを閉じるのだ。
そこから先は神の領域に入る。おまえなら容易く出入り出来るだろうから、鍵はいらないな。
群集にはおまえの心は見抜けゃしないのだ。いつでも堂々としていたらいいさ。見抜く人間ならおまえの味方になるたろう。真理を愛する者はみなおまえと同じ人種なのだ。
恐れずに実行に移せ。いいな、気をつけるのは身辺と足下だ。それ以外は私が段取りする。
くれぐれも道だけは外れないことだ。