流れない時間

アウシュビッツにはカレンダーや時計があったとは思えない。朝と夜の繰り返し。明日への希望を奪われた者には必要もない。仕事を辞めて気分は落ち込みっぱなしだ。アウシュビッツの事を思いながら我慢してきたつもりだが、我慢すればするほど陰湿になっていく。私にとってアウシュビッツは他人事には思えない。豊かになったと言うが本当なんだろうか。人間の意識を変える事は難しい。試行錯誤の果てに辿り着いた地がある。社会の価値から生きていた頃の私は社会的に成功する事であったし、愛されたい一心で自分自身でさえ踏みにじった。多数の人が揺らぎながら生きている事は解る。価値観が定まってからも多少の揺らぎはある。(これでいいのか)疑問を自身に投げ掛けながら生きている。それはとても疲れる事だから何処かで安定したいとは願うが日々の中で考えずに生きる事にも危険を感じる。アウシュビッツ。これは私にとり自由と愛を奪われた者達の代名詞になっている。