失う悲しさ

愛すると傷つく。分かっていたのに何も愛さないでは生きていけない。愛した分だけ傷つく。与えては奪う。何時だってそうだ。だから愛さないと決めた日もあった。 失った途端些細な仕草さえ大切な瞬間に変わる。些細な仕草の一つ一つが胸を締め付ける。もっともっと愛してあげればよかった。 時折独り言をつぶやいていた。 おまえは幸せか。少しでもいいから幸せだったと思いたいけど、やはりもっともっと愛せたかもとも思う。 みんな忘れておまえは眠るけど目覚めている者は悲しみに沈む。 いちばん深い悲しみの中ではおまえはまだ生きている。私はまだおまえの傍らにいる。 最初から愛していた訳じゃない。草木が育つように時に育まれ、気がつくと愛している自分に気付く。 当たり前だったものも本当は特別な感情なのに失うまで気づかない。 明日になったら夢を見ていただけかも。これは夢なんだ。認めたくない現実は全部夢になればいい。何度も現実を夢にしてきた。そうする事で辛い出来事に耐えてきた。 今はそんな芸当はできない。 苦しくはなかったのか。あれこ
れ考える。今は眠っているようにしかおもえない。空っぽになった小屋は寂しい。