ヨレヨレになって

老いた人を見る度に、何れは我が身かなと思う。若い肉体は欲しいが今迄の経験が消えるのなら、老いて行くがままに生きたい。くたびれた肉体を捨てて、と考えた時もあったが、まるで着古した衣装の様になった肉体がいとおしくなってくる。馴染んできた頃に人生の黄昏だなぁ。生きてみないと解らないもんだと思う。単純な事。ただ生きる。そこが私の原点なのだ。他に望む術も無く、一日を生きる為にひた向きだった。私はあの頃の私がいかなるものより素晴らしい時間に思える。自由でもあった。生きる以外望まなかった。憧れはありはしたが、空高く飛ぶ鳥の様にただ戯れに過ぎない。

性格の悪さ

余程私が嫌いだったのだろう。ミスが出る度に私の持ち場に来てはチエックをする。内心にやけた気分で見ている時の私は悪魔だ。人のミスを探すのに神経が向かう時、自らミスを犯す。集中力が注がれる所に力は奪われる。意識しなければ存在しないに等しい。無意識と言う落とし穴が人間の中にはある。自覚するしかない世界があるのだ。そこは宝の山なんだが、未知のものはなんであれ人は恐れる。人間が死を恐れる様に。

終わった

物語としては大して面白くはなかったが、福山雅治演じるガリレオは良かった。ギャツプのある人間がいい。質のいいギャツプと悪いギャツプがある。両端にいる存在の中央にもう一人の何者かが存在しているのだ。闇と光の中央に佇む存在こそが全てを知ってる。ビィクトル、フランクの夜と霧を時々思いだす。意図しては経験出来ない物事は与えられた運命に他ならない。ビィクトルは謙虚に受取り、意味を見い出そうとした。彼の偉大な所は拒まない。彼が言葉に出来なかったものの中に彼自身が存在する。見えないが感じるもの。それが真の存在の担い手。語る言葉を無くし存在する。

罪

随分前の話だが。コンビニに万引きが入り、捕まえようとした男性が殺された。報道ではやたら正義感と言う言葉が飛び交っていたが、私はそこに正義を見る事は出来ないのだ。罪を犯す事できずく物事がある。私は子供の頃、空腹のあまり、一個の林檎を盗んだ。その罪の意識は幼かった私を苦しめた。空腹はしのげたが、何ともやりきれない思いが残った。暫く店の前を通る事ができなかった。私の最初の罪が私にきずかせてくれたものは大きい。店の人は気付いていなかったであろうが、私自身が犯した罪は私自身が誰よりも知ってる。あの頃の記憶は次第に薄れて、林檎を盗んだて言う事実より、(罪)そのものを思いだす。空腹と罪。あの時の心情だけは何時までも消えずに心の深い何処かに根を下ろしている。

こだわらない事

今日生きていけたらよかっぺ。こだわり過ぎると逆手に取られる。日和見主義ではないが、言葉など、どうとでも解釈出来る。本当の所は本人にしか解らないものだと思う。最近チョツと気になる歌い手がいる。彼は未来からのメッセージを聴き歌い手になったらしい。ん、な馬鹿な話と思う人もいるだろうが、私は信じた。未来からのメッセージを受け取る人が実際いるのだ。後は本人が信じるかでしかないのだが。信じなければ単なる嘘に終わるだけの話なんだが。妄想も信じれば現実になる。それが人間なのだ。