友人からの贈り物

１７歳の時だったかな、友人からココ、シャネルに似ていると言われ、初めて知った。素敵な生き方をした人。改めてココを読む。会いたかった、そう思わせる人でもある。私は着るものにはさほどこだわらないのだが、それは今の時代に生まれ自由な服装が出来るからであり、もし私が違う時代に生まれていたら、やはり活動的な服を望んだと思う。十代の頃は殆んどがジーンズにカッターシャツ。それらの殆んどは男性用。女性向けの服は流行がありすぎてついていけなかったと言う理由もあるが、何より肩幅の広い私には男性のシャツが一番着心地が良かった。最近では着る物より着る側の材質が気になる。最近でもないか。暫くブティクをやってた頃も同じ事を思いながら、服を売っていた。本心はそうだが、なんせ売り手の意識もあり、自分の本心は隠していた。話をしていて素敵な人と思う。生き方に通じているのだろう。こればかりは装えない。何気無い言葉のはしばしに匂い立つものだから。何も上品だと言う訳でもない。あいつらしいなぁ、そんな所かな。その人らしい言葉、仕草。

いい加減な奴

本が好きと言うより、言葉が好きで、誰が書いたかなど全く気にしていないせいか作者の名前を覚えてはいないのだが、空気だけは記憶に残っているらしい。つらつらと読んでいると、懐かしいものを感じ、作者を知る。人目惚れはしない。根底を確なものが流れる作品には何れ又何処かで出会うし、生きている最中で自然に深淵から蘇る。その時が本当に理解出来た時だと思う。自分のものにならない言葉は私には無縁のものでしかない。だから、私は作者にはこだわらない。出会いとはそういうものだと思う。

神の存在

他にどの様な考えがあったのだろう。神の存在を信じ、与えられる出来事を受け取るしか無かった。私には苦難に耐えるだけの力があるのだと信じる事でしか乗り越えられ無かった。誰に教わった訳でもない。物心ついた頃には何者かの存在を信じていた。あれは私自身の声だったのだろう。今私は学ぶ事、そのものが楽しい。生きている事が大切な時間に思える。誰の為でも無く、学ぶ事事態が喜びになっている。死にたい、と願った時私は振り返った。私が最も嬉しかった出来事を。車の免許を取った時。パンの講師の資格を取った時。何かを得た時だった。もっと幼い時は食べ物が在ることだったが、満たされると次々に欲求が生まれる。無限なものは何か、を考えると私の知らない事がまだこの世界にはいくらでもあるのだと思う。未知への憧れ。後どれだけ私が生きているか解らないのだが、私は階段を昇る様に終りのない階段を一歩昇る。終りのない階段の前で絶望を感じた時もあった。立ち止まったまま死ぬか、一段でもいいから昇るか、考えた。目的などない。誰かが言ってた様に(そこに山があるから)その心境が解った気がする。まだ私にも解らないものが私
の中にある。私は最早知りたいとは思わなくなった。私の中の得たいの知らない存在を知りたいとは思わないのだ。揺るぎない信頼だけを持っている。

故郷

生きている。それだけが確な証だった。他に何も望まなかった。１４歳の夏に都会に出る迄。まともな食事も無い中で私の心だけは自由だった。都会に出て見て、初めて人間は生きているだけでは満足では無いのだと知った。田舎にいた頃、私は誰からも干渉される事は無かった。私に対して誰もが無関心でもあった。それを自由とは言わないのだろうが。外部からの期待も無く、生きる為に食べた。食べられる事が幸せで、後は自由な心の戯れを楽しんでいられた。都会に来てから私はほんの少し変わったかも知れない、が結局本来の自分に帰り、生きていると言う実感を取り戻した気がする。故郷は私の心の中にしかない。そこに帰ると安堵する。そう言うものが故郷だとしたら、私の故郷は私の中にしかない。

申し訳ない

約束はしたが、中々そんな気にならないまま過ぎて行く。約束そのものが好きではないと言う理由もある。会って話す事もある訳ではない。いつの間にか止まってしまった時間。話の内容はおおよその検討がつく。何より億劫になっている理由はリズムが違い過ぎる。暇だから連絡すれば良いのだが、億劫になる。口からでまかせの約束に悩む。