失う悲しさ

愛すると傷つく。分かっていたのに何も愛さないでは生きていけない。愛した分だけ傷つく。与えては奪う。何時だってそうだ。だから愛さないと決めた日もあった。 失った途端些細な仕草さえ大切な瞬間に変わる。些細な仕草の一つ一つが胸を締め付ける。もっともっと愛してあげればよかった。 時折独り言をつぶやいていた。 おまえは幸せか。少しでもいいから幸せだったと思いたいけど、やはりもっともっと愛せたかもとも思う。 みんな忘れておまえは眠るけど目覚めている者は悲しみに沈む。 いちばん深い悲しみの中ではおまえはまだ生きている。私はまだおまえの傍らにいる。 最初から愛していた訳じゃない。草木が育つように時に育まれ、気がつくと愛している自分に気付く。 当たり前だったものも本当は特別な感情なのに失うまで気づかない。 明日になったら夢を見ていただけかも。これは夢なんだ。認めたくない現実は全部夢になればいい。何度も現実を夢にしてきた。そうする事で辛い出来事に耐えてきた。 今はそんな芸当はできない。 苦しくはなかったのか。あれこ
れ考える。今は眠っているようにしかおもえない。空っぽになった小屋は寂しい。

頼りない奴

口先だけは達者で、いざとなったら全く頼りない。自意識過剰で素直に人に頼む事も出来ない。どう言うんだろうね。頑固と意志の強さを履き違えて頑なな性格は他人とは共存できゃしない。それさえも意志と勘違いする。反発も同調も役には立たない。本当は自信がないだけなんだって私は思うが本人はそう思ってはいない。空っぽだ。自分がない人は空っぽなんだ。まるで空虚の中で実態のない自己の亡霊にしがみつく子供だ。 子供が下手な理性で大人のふりをするからややこしくなる。今の日本の政治家も皆ガキでしかない。安心なんて出来る訳がない。

出逢い

どんな人に会い何を感じたかそれが大切だと思う。恋愛の対象ではなく、人間として芸術を感じる。一人の人間として愛して止まない存在。独占欲とは無縁なんだとも思うし、ましてや恋愛の対象として限定もされない。ただそこに存在しているだけで私にとっては日々の慰めにもなる。 ペットでも構わないのだが、ちょいと違う気がする。

孤独な世界

寂しい、そんな思いを常に抱いていて、人を求め歩いたのだろうか。側にいても虚しさも寂しさも癒える事はなかった。 心と心を行き交う思いは川の流れのように互いの思いやりから巡る。感じる心があり、伝わっているのだと無言で分かり合う。傍らにいなくても、懐かしい時を愛おしむ。言葉では語れなかった思いやりは静かに流れ永遠に巡る。 ささくれた心から幾度も目覚め、黙ってソッと手を差し出した。雪の降る街で私はあなたの背中を見つめ歩いていた。そんな私にあなたは黙って前を向いたまま手を差し出した。私も無言で手を重ねた。無言の温もり。 失ってみて大切さが分かる。遠ざかるにつれ鮮明に蘇る。一つ一つがいつでも新鮮な景色になり蘇る。

怒りの底に

翼を失った鳥。怒りは悲しみのなれの果て。憎んでみたとて消えない悲しみを怒りに変える。しばし忘れていても夜になると悲しみの住みかに帰る。諦めが良い時もある。ここが私の生まれ故郷。夢を見る。翼を持っていた頃の。けれど現実に目覚めるともっと惨めになる。憎む度に傷付くだけ。憎む度に愛するものさえ失う。憎しみからは何も生まれはしない。多分、憎む事で消える悲しみなんてないんだろう。穏やかな時、悲しみの傍らで空をぼんやり眺めている。