祈る時間もない

あなたを意識もせず動いている。今では祈る時間すらなく、行動に駆り立てられる。私の中に神よあなたがいるなら無意識に働くものと信じています。全ての行動があなたと共にあるのだと思えばこそ私は自由に溢れるがままに愛を注げるのです。あなたの愛を信じます。険しい道も何時しかなだらかな道となる事を願います。 あなたと歩いた道を私は忘れてはいない。幼い頃から馴染んだあなたの愛は穏やかだが厳しかった。何度も道を踏み外したか知れない。けれどあなたは私を見捨てる事はなかった。人間としての多くの過ちさえあなたは印と成していく。永遠にあなたと共に歩くのが私に喜びをもたらすのです。

馬鹿女めが！

患者さんの前では決して感情を出すまいと決意していたが、余りの鈍感さに怒りが湧いて、止まらなかった。 ぼーと突っ立つているな！怒りが炸裂。罪のない患者さんの前では感情的になるのは不安にさせる。分かっていたのにこの馬鹿女は根性が腐りきっている。百害あって一理なしとはこんな奴だ。生きていても無駄な奴もいる。 ほっといてもいずれ自ら掘った墓穴に落ちるのは時間の問題だ。根性が腐っている人間に情けなどかける暇はない。勝手に地獄に落ちろ。その時は嘲り笑ってやる。おまえには地獄がお似合いだ。 こんな奴に限って甘ったれた夢と自己満足の中でのうのうと生きやがる。悪等ほど栄えるというが、私はおまえを打ちのめす。 哀れな奴よ。

祈る時間もない

多分、祈る必要はないのだろう。私は常に神と共に行動している。私と神は一つに溶け合っているのか知らないが、今まで私の外側にいた神は内部に居を構え揺るがぬ。マザーテレサが言っていた言葉が静かにこみ上げる。必要とされない人などいない。これは私自身が子供の頃感じていた事でもある。不必要な人間はいないのだと。だが、それとて努力なしではなし得ない。ふんぞり返っていてはただ疎ましいだけだ。感謝は与える者に喜びを与える。 心からの感謝は心を満たす。お互い様の精神が自然な在り方なんだろう。穏やかな愛こそ人を豊かにする。 私にも感情はあるが人間なら形を変えた表現も可能だ。豊かな感情とは人を幸せにするのだとも思う。そうでない感情はヒステリックなだけだ。

穏やかにね

ただ逃げたい、苦しみから逃げたい。彼の無言の願いの前で私は静かに祈った。両手を合わせ神にすがる思いで、彼を苦しみから救ってくれる事を願った。死への恐怖さえ超える苦しみがある。私も何度となく味わった。明日目が覚めなければ苦しみともお別れだ。何とも単純な願いだったが聞き入れられる事もなく絶望感に目覚めた。諦めを通り越すと、勝手にしゃがれ！開き直って生きた。私には他にも逃げ場はあったが、彼には死だけが解放への道。彼とは無言で多くを語った。私は彼が生きている間一度も人間の言葉で話した事はない。ただ穏やかに彼の目を見つめ頷いただけだ。それで充分だった。彼もまた頷いた。それからの彼は胸の上で手を組み常に穏やかに過ごしていた。 亡くなった後看護婦さんから、綺麗な顔をしていたと聞いた時は何故かほっとした。生き地獄。私も何度味わった事だろう。死ぬ事だけが救いに思えた。 死ねない私に友人は慰めるつもりで、あなたにはまだ生きてする事があるのよ。その言葉は私を慰めるどころか絶望へと突き落とした。確かに私はまだいくつかの道があった。だが苦しかった。私の苦しみを分かった上で友人が言
葉をくれたなら少しは救われたのかも知れない。友人は知らないのだ。生きながら死んでいる苦しみを。 使い古されたお馴染みの慰めを録音されたテープで聞くような虚しさを何度も感じ、もう話すまいと決めた。伝わらない人に話せば余計死にたくなる。私は希望の言葉が聞きたかった。偽善的な慰めはもう結構だ。地獄より辛いのは虚しさ。最近、誰とも会話らしきものをしていない。 多分もう誰かに理解される事を諦めたんだと思う。私にとって一つの死を超えたのかも知れない。

自立

年老いた人を厳しく突き放す事が自立に繋がるのか。ただ孤独にするか、孤立にしかならない。支えられなくては自立出来ない人もいる。 強制的な厳しさは単なる虐待ではないのか。弱っている時に歩け！食事をしろ！ではアウシュビッツの囚人と何ら変わらない。本人の意志や気持ちを踏みにじった訓練が身につく事はない。体の不自由な人は何よりも気持ちを分かって欲しいと願っている。それも聞かず自分勝手な気持ちを押し付ける。受け取らざるを得ないのだ。逃げる事も抵抗する事も出来ない者には。 何時しか元気になり退院する日が来たら、屈辱を受けた記憶が残っているとしたらなんと悲しい事だろう。