過ち

誰も傷付け無かったと言えば嘘になる。不完全な人間である事を自認する私は過ちを犯した事に後から気がついた。後悔から気がついた事がある。人と関わるとはなんぞいなと言う疑問を持ちながら。私自身も他者から傷付けられもした。御互い様だなと苦笑する。許された気持ちに救われる。完璧な人間ばかりだったら、私は一生罪に苦しむしかない。罪の自覚が他者に対する寛大になる。罪を憎み人を憎まずと言う言葉の意味も結局自分を許す為にあるのだと、気がつかされた。人間の愚かさから生まれた物語は、人間らしさを語る。完璧な人間しか存在しないとしたら、何も話す事はないだろう。国会中継を見ていて完璧であろうとして、無難を選んでいる人間にこそ、不完全を感じる。未知の世界に踏み入ろうとするなら、失敗はつきものである。好奇心の強い人間が間抜けに見えるのもそんな所から来ている。一度も他人を傷付け無かったと自認する人間がいたら多分、偽善者か鈍感な人間だろう。私は傷付けられた事に腹を立てている訳ではない。気が付かない事に怒りを感じているだけだ。