話し相手

会話がつまらないと話す気にはならない。相手に合わせての会話がどんなに苦痛か。仕事でやむを得ず合わせていた。今ではあれも、学びであった。何ひとつ無駄な事は無かったとさえ、言い切れる。生きる為にやむを得なかった事柄が私を自然に創造しつづけていた。 会いたかった私に。自己嫌悪の塊だったのが嘘の様に思える。 死にたい！と、憧れていた時期、真っ暗闇の中で、探していたのは私自身だった。 出会って見ないと解らないもんなんだ。 いくら頭で自身を描いてもしっくりしない。あがきながら、最後は開き直った。結論は単純だ。(私がいい)大地にしっかりと足を着けた気がした。自身の目と足で歩く人生が、全身に伝わる。こんなに単純な事なのに、随分、遠回りしたもんだ。 遠回りした分経験も増えた。 望んでやった訳ではないが、漠然と神様とやらが何時も側にいたのではと思わずにはいられない。 何にも満足しなかった理由。私がいない。 些細な理由、だが、もっとも大事なんだ。旅の途上での多くの出会いは私の中にあり、今は良き話し相手になっている。これから先も
出会いはあるだろう。仲間が増えて、次第に辺りが賑やかになる。足の骨折で体は不自由だが、さほど退屈とも思わない。静かになると、思い出達がお喋り始める。 しかし、誰も彼も間抜けな連中なのにはただ呆れかえる。類は友を呼ぶと言う事なのか。ここでも又自身に会う。