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長距離ランナーの孤独。忘れるにはもったいないので残しておきたい。(走るのはわが家の家系だ。特に警察をまくのは。理由は分からない。とにかく野や森をかけるだけだ。群衆がかっさいしても決勝点はないのだ。これが長距離ランナーの孤独だ)怒れる薄笑い(主人公のコリンは、盗みで捕まり、感化院に送りこまれた若者である。働きづめで死んだ父。浮気者の母。貧しい労働者の家庭で育った彼は、生来のひねくれ者で、盗みを働いては[おまわりから走って逃げる]ために、足だけは速かった。そこに目をつけた感化院の院長が、エリート校であるパブリックスクールとのクロスカントリーレースの選手に、彼を抜擢する。レース当日、院長の期待通り、彼はゴール直前までトップで走ってくる。だが突然、立ち止まると、後続のパブリックスクールの選手に道を開ける。騒然となる観衆。[走れ!]とどなる院長。だが、コリンは不適な薄笑いを浮かべて、その場に佇むのである。優勝すれば院長のおぼえめでたく、感化院から出所できる日も近いはずなのに。彼はなぜトップを譲ったのか。それは偽善に満ちた社会への、孤独な彼の復
讐劇だった。[おれはきっとあのレースに負けてやる、おれは競馬うまじゃないからだ、そいつを奴に知らしてやるんだ、しゃばへ出る前に]以上。世界シネマの旅から抜粋。又読みなおして思いにふけるが為に残しておきたい。退屈な時、こんな言葉が翼を広げる。心の琴線があるなら、微風が吹く度に奏でる音楽がある。私の中の触れてはならないはずの琴線が切なく鳴り響く。琴線をつま弾く指は繊細で優しい。がさつな者を拒む。なんであろうと私の琴線が鳴りだす時は、忘れていた優しい時間。それは決していい思い出ばかりではないが、打ち砕かれた大地に今なお咲き続ける一輪の小さな花に似ている。微風の度に揺れる花は今なお枯れる事もなく咲いている。私が行きている限り守り抜きたい花。最後にもう一つ抜粋。(あなたたちには僕のことなんか、分かりゃしないよ。あの笑いは、そんなメッセージなんだ。ディファイアンス。そう、僕の小説で書きたかったのも、あの時代の貧しい若者たちの気持ち、[挑戦]なんだ)
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