暇になると思い出が踊り出す。

ビィクトル、フランクの夜と霧がよぎる。ナチスに収容されたフランクが収容所を出た後に書いた作品の中で一番感動した。悲惨な出来事には合わない台詞かも知れないが、他に言葉が見付からない。 繊細な人程過酷な運命に耐えうる。と、書いたフランクの言葉は胸に染み入る位解る。 そして、佐野さんの書いた言葉。深い所に根を下ろすのは哀しみ。と、言うのも解る。喜びはフワフワ漂う気がする。 フランクが収容所で得たものは大きい。フランクが精神科医であった事も幸いだった。 夜と霧は生まれるべきして生まれた作品で、運命と宿命の見事な合作に思える。運命と宿命が激しく凌ぎを削り闘い、火花を散らし生まれた作品が夜と霧なのだろう。心理学を学んだだけでは決して書かれる事はなかった作品が、フランクを通して生まれた。多くの哀しみの果てに、夜と霧は生まれ、人間に語りかける。私は小説は好きではない。取り合えず読んだ作品はあるが、ほとんど忘れている。 空想から生まれた作品にもそれなりに面白いものがあるのだが。何故か、残らない。ビリーホリデー、が好きな理由も同じ、佐野さんも、手塚
先生も。 経験をデフォルメしたものは深さがある。 計り知れない深さの前で命への旅か始まる。私は浅瀬で溺れる事は出来ない。金槌ではあるが、浅瀬で溺れるには余程の技がないと出来ない。フランクの様な深い海で溺れるなら、本望とも思う。海底に着くのは時間がかかる。ゆっくり魚達と戯れながら、沈みゆくのもいいかな。フランクはそんな気にさせてくれるものがある。

天然惚け

九官鳥懐に入らずば猟師も殺せず。本当は窮鳥なんだが、前者の文句の方が好き。と、言えるのは本当の事を知ってるから、言えるのだが、漫才で惚けと突っ込みが面白いのは、物事の裏と表の関係だ。惚け役の方が多くの知識を必要とするだろう。天然惚けとは違う才能。中途半端な知識なら、天然惚けの方が楽しい。暫く暇な日が続く。治る頃には夏も終わってるだろう。夏の終わりは私にとって何時も別れの季節。何故か知らないが、秋になる前に彼氏と別れるのが習慣だったから、今回もそうなのかなぁと思うだけなんだが。

暇人は何処へ流れるか解らん。

知らなかった頃、大好きだった。製造過程を知って、食べられなくなった。あれ以来全く食べていない。落ちたおにぎりでさえ、もったいないと、口にほうばる私がだ。 知らぬが仏。何枚堕仏、(これ、読める人、暇人)知らないって幸せなんだ。が、後で地獄見る。知っていたらなんて、後悔しても、後の祭りだよ～ん。ぼよよ～ん。こんな事書いてる私、相当暇なんだ。仕事場に電話して、笑い話しを提供する。(お大事に。)とは言ってるがやはり笑ってら。最後の言葉は笑い声だった。取り合えず休んでいる間は暫くこの間抜けな話しで退屈をしのいでくれるであろう。退院した後仕事に帰ったらいいけど、私の予感ではこのままトンズラするかも知れない。予測のつかないのが人生なんだ。未来なんて知らない方がいい。知ったら面白くない。未来が素晴らしいものである為に今日一日を生きる。今日が最悪だったら多分未来も最悪だと、思う。今日しか、知り得ない事がある。今出来る事を探す。 わしゃ今日は寝てるしかない。これが今日の私のベスト。 退屈なんだが。仕方なかよ。

適応力

骨折から四日目。慣れた。歩くのも上手くなったし。入院せんでもいい、と、ガキに言ったら、ガキ曰く(そう、言うと思った。)ガキから見たら私は野良猫らしい。いないな、と、思ったら怪我して帰ってくる。(早く病院に閉じ込めないと又脱走する。)ガキの会社でこの話しをしたらしい。 人間の話しではなくペットの話しと勘違いされたとの事。 (君はペットみたいだね。)何人の人から言われた事か。ペットはペットでも野良猫かいな。首輪のないペットが私は好きだ。動物に服着せてんの嫌い。 多分人間の自己満足だと思うよ。ペットは何も言わないけど、私解るもんね。大好きなご主人様が喜んでくれたらいい。今日はペットの代弁者として、申し上げておきます。これは、心理学用語で感情移入と申します。字が合ってるか知らんが、まっいいか。アマチュアの強み。間抜けの特権。明日は何が起きるやら、予測のつかない闇をさすらう。かっこいいな！

多分暇なんだ。

真面目な話しは学者さんの方が得意分野だと思う。私向きではない。巷を風来坊の様にうろついているのが性に合っている。デフォルメされないものは、まず、面白くない。本物を知らずして、デフォルメは無理。 記号だけではデフォルメは理解されない。私はフカヒレを記号では知ってるが、実際食べた事がないので、なんとも表現できない。味を知っていたら、似たような雰囲気を作れるだろうが、私が知ってるのは(フカヒレ)と言う記号のみ。これではどうしょうもない。取り合えず形だけは知ってる。形だけは作れるが味は出来ない。やっぱ、食ってみん事には解らん。あらゆるものを総動員して、初めてデフォルメも生まれる。あらゆるものは自然から与えられ、私達はそれらをデフォルメして、楽しんでいる。 今私の楽しみはこの下らない現実をデフォルメし、見ること。 マニュアル化した人間をデフォルメする事。 本当に暇になると、退屈過ぎて困ります。 足の骨折が治る間、脳味噌をかきまぜて、楽しむしかない。