諦めから生まれた希望

何時か死ぬんだ。最初に意識した、人間の限界。死の前には多少の悪戯なぞはガキの戯れにしか過ぎない。一つの物事に纏わる、様々な物語り。苦しい時の死は優しい救いの神であり、歓喜の最中にあっては言い現せない虚しさに変わる。二つの側面を持つ死の真ん中にもう一つの真実がある。 人間の限られた命から生まれくる幻想。 人間に仕組まれた巧みな罠かも知れない、疑いもするが、あらがいがたい幻想は真実さえも白紙にしてしまう。(私は死ぬ。私は永遠。)矛盾の塊から立ち上がる新たな命。混沌であった世界が遥か彼方まで見渡せる境地。昨日と何ら変わらない今日に訪れる白日夢。もがき苦しみ抜いた現実の憐れみとも考えられる。険しい現実も少しは思いやりがあるんだ。辛辣な考えがよぎる。

閉ざされた棺

封印されたまま次の世代に託すつもりで、沈黙を続ける。気が付かない振りを装い、語りかける声を振り切り走る。暗黒からの逃亡。棺の中に眠る暗黒。朽ち果てるまで、時を待つ。幾多の旅人が傍らを通り抜けたか。壮麗顔の、黒衣の女に憐れみを見せはするが、関わりを避けて去って行く。 時がくるば棺の蓋は開かざるを得ない。暗黒の申し子は死ぬ事はないのだから。生命を支えているのは、他ならない暗黒の子供。未来への飽くことなき、野望を、棺は宿す。

わしの子供にならんか？

優しい言葉に騙され、暗い森の寂しい道を歩きましたね。何も知らない私は貴方が何者かも、何処へ行くのかも聞く事はしなかった。心細くて、貴方を見失うのが怖かった。貴方の愛が偉大な存在の証しでもあった事を知ったのは、つい最近。 辛く険しい道を歩く貴方の目を霞め、脱走者になった気分でした。アインシュタインのアッカンベーを見る度に、あの日を思いだします。 貴方から逃れ、自由になった。が、貴方のいない自由は意味のない物である事も知りました。 逃げたりしない。諦めなのか、満足なのかは解らない。 二つの言葉の意味は同じなんだとは思います。 昔と少しも変わらない。自由奔放の私の手綱を緩めて、気分だけ、自由。 呆け！私はあんたのペットちゃうわ。まっ、構わないのだが。せめて発言の自由だけは奪わないでくれるか。後はあんたの好きにしたらエエがなぁ。

保護者

誕生日を間近に、ガキと電気店に出掛け、アイポットを買った。ガキと出掛けるの久し振り。最近のガキは豊かな時代に生まれただけの事はある。物に興味がない私は、買い物の度にガキを引っ張り出す。電気製品なんかはまるで、チンプンカンプン。解らない事はガキに任せるに限る。ガキが探している間、椅子に腰掛け、日本陸上観戦。憧れのアスリート達。かっこいいいいな！間抜けは、ガキが一緒にいると安心しきって、アホ面で、ウロウロ。迷子になり、ガキを探している。思ってもいなかった。逆転してる。今ではガキが私の保護者。子供の気持ちが今更ながら解る。頼りない私をガキは頼りにしていたんだ。もっとしっかりした親の元に生まれていたら、苦労も無かっただろう。間抜けは好きだが、ガキに対しては申し訳なく思う。 帰りに馴染みの店に寄り、仲良しの店員さんとお喋り。(誕生日にアイポット)プレゼント。ここで話しは終りにしたかったのだが、続きがある。アイポットの充電器を貰った。(えーそれだけ) そう、それだけ。でも嬉しいもんね。私がガキの頃、プレゼントは神様しかくれなかった。ガキからのささやかなプ
レゼントは、ほんの一時、子供の頃の願い事が叶ったみたいで、ピョンピョン、はねまわった。子供でいられた時が無かったからなのか、頼もしいガキの後をついて歩きながら、ガキの時の時間を少しだけ、味わっただけで、いいプレゼント貰った気分になった。有難う。

世界

ソフイの世界に、シルクハットから兎が飛び出す、シーンがある。我が家でも兎を飼ってる。だが、あいつはシルク、ハットから出て来た訳ではなく、ガキと私がペットショツプから連れてきた兎だ。ソフイの兎はシルクハットから、ポンポコ飛び出して来る訳なんだ。まか不思議。我が家の兎に聞いてみたが、言語能力がないから、言えないとさ。