愛されるより、好意が味わいがある

愛と言う言葉が巷に氾濫している。多分それだけ人間がエゴになっているんだと思ってしまう。町を歩いていて、何気無く交す爽やかな思いやりにじんわりとした温かさを感じるのは私だけではないと思う。二度と会わないかも知れないみず知らずの人間のさしのべる手は、人間の中にある自然を感じる。北風と太陽の例えにもあるように、昔から人間は知っていたのだろう。私は漠然とではあったが、恋愛の中にエゴを感じていた。愛してくれるから愛すると言う図式があり、戯れにしか思えなかった。今は相手が私に気がつかなくても愛していく気がする。愛するものがあると言う事が心を満たすのだと思う事が度々ある。

すぐ側にあったもの

憧れや夢は遠い空の上に輝く星の様なものだと。単なる思い込みに過ぎなかった。三百円の鉢植えを買ってきて、今蕾がびっしりついている。ただ眺めているだけで幸せに思う。何を探していたのかさえ解らなくなる。咲いた花を見てると無言の愛があるのを知る。感謝をこんな形で表す植物を眺めていると、愛されたいなんて思っていた自分が悲しい。今日まで生きてこれたんだから、私にも何らかの愛が与えられていたのだろう。咲く事で私の気持ちに応えてくれた。私に愛があるなら、出逢いの度に笑顔と言う花を見る事が出来るのだろう。そんな人間になりたい。

働く事の意味

恥ずかしい話だが、あの頃は自分の正直な願いだったつもりでいた。世の中の価値で自分を見ていたなんて思いもよらなかった。食事もろくに食べず働き、休みの日になると全くの別人かと思う程無気力になっていた。ただ世の中から認められたかったし、人から愛されたいとも思っていた。自分が死ぬまで生きてみて、やっと気がついた。意識もして無かった本心。心はたぶらかされるのだと、知った。愛されたいと願えば願う程満たされなくなる。愛されたら儲けもん位が丁度いいのかも。愛するは私の意思だが、愛されたいは強制する気がする。有難うと素直に言える愛があれば良しかな。

取り合えず、もうチョイ。

今日一日生きよう。庭に出て花の蕾を数えながら、咲くまでは生きていたい。小さな喜びが、そこにあるから長い道のりも苦にはならなくなるのだ。北海道に住んでいた頃、札幌駅からアパート迄の道のりは長かった。先ばかり見ていたら、徒歩での通勤が辛くなるばかりだ。電信柱を目印に歩く。次はあの電信柱迄と。気が付いたらアパートの前迄辿り着いていた。強風に煽られた雪が顔に当たると痛いのだが、そんな時は後向きに歩く。なんて事もない日時でも何と無く工夫しながら、生きている。そんな単純な事が結構楽しかったりもする。苦痛を避けて歩くのもいいが、如何に苦痛を堪えるかも人各々で個性があっていいかな。苦痛のもう一つの顔が人生の意味を知ってるのかもと思えたりする。

管理社会

たまの休みにノンビリしたいなんて思っていても、そんな場所は何処にもない。コーヒ飲み放題のファミレスで本読む。金が無くては何処にもくつろぐ場所はない。田舎が恋しくなるのはこんな時だ。しかし、田舎も変わっただろうな。私がいた頃は自然の中で誰にも気兼せず、天然のクーラに感謝したものだが。豊かになったと思っている人は本当の自然を知らないから言えるのだろう。金さえ出せば何処でもいい顔だか、スマイル顔で相手してくれる訳だ。随分安っぽい笑顔。