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モナリザを見る。絵に過ぎないが生きてるなと思う。私ではない。モナリザが話しかけてくる訳だ。本を読んでいても話しかけてくるものがある。しかし、それとて感じる私がいての事。町を歩いていても同じ。いい出会いがある日は私自身の感度が良かったりする。良いものを感じるアンテナ。何でもない事を楽しむ。そんな日は大抵心が穏やかな日だったりする。心は不思議な鏡。
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ガラス張りの中だから外からは丸見えで入ろうと思えば入れそうなんだが、何処にも入り口がない。透明だから当然扉も透明。隙だらけなんだが全く隙がない。手招きはするが、入り口は教えてくれない。厄介なものに惹かれる私も多分変わり者だ。多分、これから先も変わり者であり続けるだろう。
男は無口がいいなんてね。ただ退屈なだけじゃん。無口は馬鹿を隠すには最適に過ぎない。モナリザを見てて、何時も思うのだが、物思いのあの目は非常に多くを語る。見てる側の心理をえぐる様な生意気さが私は気に入ってる。強かなあの目の前では多少の嘘は許されてしまう。嘘も許されてしまっては楽しくはない。許されない禁断の果実が旨い。ってね
煙突から灰色の煙りが微かな風にあおられ、ゆっくりと流れていく。火葬場で私が見た煙り。そこに叔父を見る。消えたのではなく、何かに姿を変えたのだと。なぐさみに物語りをつむぐ。悲しい思いの数々は私の中で物語りになり、生まれ変わってしまった。
人間の欠片もない。想像を絶する事件が起きる度に何度聞いたか。傍観者である私は、自分には理解出来ないと思いたい。。人間のすることは愚かすぎる。私もその愚かな人間の一人なのだから。私の中の暗闇を私は見つめる。命の源を見つめる。沈黙の闇に孤独な存在の悲しい声を聞く。そこに私は優しい眼差しを投げ掛ける。母の眼差しを。見えない我が子を抱き締める。


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