帰らなきゃ

私は電話でそう言った。自分でも分からず口をついて出た言葉。時々私は意味不明な言葉を呟く。一人の人間としての私の望みとは異なる何者かが私を通し語る。信じてはもらえまい。何故なら私自身もその声を疑っていたからだ。幻聴かもしくは私の頭がおかしいかいずれかでしかないと思っていた。今でもそう思いつつ聞いている。 その手が私を捕まえる前に逃げる事を考えていた。 この事を話したら私は気違いにされる。現実が何を信じているかくらい分かる。 私が聞いていた言葉は多くの古人が証明している。その声こそ真実である事を。
もっと遠くに逃げてもいずれ私は捕まっただろう。 私はおまえを表現するだけに過ぎない。素材の全てはおまえからくるのだ。 これも私が聞いた意味不明の言葉だ。 いずれ科学が発達すればそれらは解明される日もくるだろう。人間の脳か精神か魂か、私には分からない。ただ真実を告げる何者かがいる。 衣装を変え時を渡り歩き不屈に囁く。人間が存在する限り。

マザーテレサ

神様は私たちに成功してほしいなんて思っていません。ただ挑戦することを望んでいるだけよ。 以上マザーテレサの言葉から。 私は知人からマザーテレサのような人はそんなにいないけどと言われた事がある。私の中にまだ欲望があった頃の話で、私には欲望のない世界はつまらないものに思えた。いつの間にか私から一切の欲望が消え、スッキリとした気持ちになっている。今では昔の私の方が不思議にさえ思える。こうしてマザーの言葉を感じながら涙が溢れてくる。

悲しい人

自分の人生の中で最も悲しかった記憶を探す。愛されなかった事ではない。愛が伝わらなかった事に思える。具体的には言えないのだが、今でもそれはある。花を活けて、綺麗だねと喜んでくれたら余計な言葉は必要ないのにと思う。フカフカの布団に眠る時、気持ちいいなぁと感じてくれたらそれだけで日々は豊かになる。 誰かは知らないが、気にかけてくれている人がいると気付いた時私は幸せに思った。 悲しい人とは何も愛せない人なんだろう。だからこそ、そう言う人に愛されたいと願ったのかも知れない。

ごめんね

ふっと気になる。どうしているやら。だけど今は自分の事で精一杯だし、楽しい気分にはなれない。 笑ってなさい。辛い時ほど笑みを忘れてはならない。 子供の頃私が見つけた幸せへの道は単純だ。単純だから余計苦しいと言う矛盾。単純な事をコツコツ積み上げていく生活、作業。 知人にしろ誰にしろ会いたくない日がある。どう生きたいかは自分で決めた。今は少し疲れて道ばたでしゃがみこんでる状態だね。見られたくない自分がある。

思考の支配

一つの思考に捕らわれるのも奴隷と変わりはない。自由と愛について常に私は考える。惑わされ、誘惑に流されたりしながらも。確かな答は私の行動の後から、満ち足りたか空虚かで分かるものだと思う。 過食症のようにとめどなく幸せを求める時、私は自分が空虚の中でもがいているのを知る。私の心は満たされる事を願うが、それが何であるかはまだ分かっていない。 だが、微かにではあるが私の空虚を満たすものは外から内に向かって注がれるのではなく、自らの命から溢れでるものに思える。その扉を私は開きたい。それが私にだけ与えられた自由と愛に思える。思考はただその意味を考えるだけに思える。溢れる思いに従う。それだけが私の命を満たす唯一の糧なのだから。この肉体の中に私を養う大地がある。よそから来るものは一夜限りで去っていく。幸せは気まぐれに訪ねてくる客のようなものだろう。