家族

子供が出来て仕事を辞めた。ずーと仕事をやってきて家庭に入るなんて向いてないと思った。向いてなかった訳ではない。少しでも笑顔が見たくて私なりに頑張った。 食事をしても美味しいもごちそうさまも何も言わない。何となく始めたパンの上達に貢献したのはお隣の旦那さん。習いたての不味いパンを美味しいと言う。誉められ調子に乗り焼き続けた。人が喜んでくれるから上達もする。家庭であっても当たり前はない。ありがとう、ごちそうさま。感謝されたい訳じゃないが嬉しいと思う。家族も日々の些細な積み重ねでしかない。満たされない気持ちを満たしてくれた人は私がパートナーからは決して得られなかった感謝と笑顔。

合わない大地

植物が言葉を話してくれたらいいのだが、合ってるかどうかは花となり応えてくれる。大地と陽当たり、他にもあるんだろうが、条件が揃ってこそ花も咲く。 仕事を探し世の中を見るのだが、どこにも自分の大地が見えない。 鉢の中から植物が外へ這い出している。鉢の中に土が入っていないからなのか、植物が自分の意思を持ってるとは思えないが、案外、意思を持った植物もあるかも。 世の中だけが大地ではない。土がなくても育つ植物もある。いろいろあらぁな。

旅仲間

目指しているものが同じだと気が合うんだろうな。旅は道連れってね。一緒に歩いてなくても同じ方向に向かっている人は何となくなんだが分かる。宮澤賢治やマザーテレサの歩み方が好きだな。静かで不屈な歩みは平和的でさえある。宮澤賢治とマザーテレサは形こそ違うが似てるのかも。与えられた才能で歩き方が異なるだけで目的地は一緒なんだと思う。改革とかそんな大袈裟な考えではなく、目の前にある出来事にただ無心に向きあってる。自然の成り行きみたいな流れが何時か大きな流れになればと思ったりする。木が森を作るようにマザーテレサのような人間が作る社会があればいい。

告知

知らない方が良いと思っての事だったんだろうけど、５才まで二度の環境変化を経験した者は日々怯えながら暮らす。三度目の時にはよその家に上がるのさえ怖がった。このままここに置いていかれるようで。予感は的中した。私を気遣っての事だったろうが、逆効果でしかない。はっきりと後一年と宣告された時はかえってほっとしたのかも知れない。黙ってよその家に置いていかれるより事情を知った方が別れやすく感じた。心の準備も出来る。子供ではあったが、やむを得ない事なんだと思った。 告知に関しては人それぞれだが私は知っておきたいタイプだと思う。不安に怯えながら生きるより、ここまでと期限を決めた方が堪えられる。永遠に続く不安や苦しみにも期限がある。 約束の日、私は泣きもしなかった。あの日の私が好きだ。毅然と受け入れた姿勢を誇りに思う。

本音

追い詰められた時人は本音を吐く。その時どんな本音を吐くかだ。相田みつおさんの言葉。 私の本音は決まっている。今更言葉にするまでも無く、分かっている存在がいる。 世の中が好きになれない事もあるが、未練もない。何の愛着もない。しがみつく理由は何一つない。面接で聞かれる事は決まっている。当社を選ばれた理由は？決まりきったセリフに嫌気がさす。何の価値も感じてはいない。決められた事をただ意味もなくこなすだけでしかない。 熱意などありはしない。あるふりも出来ない。 馬鹿しい人生より馬鹿ばかしい一時が唯一の耐える方法だ。